第20章・第一部 地上最終戦 ― 準備編 ―
ホワイトホース本部。
朱牙派壊滅から一週間、全隊員が慌ただしく動いていた。
次なる目的地――西東京、黒狼会拠点制圧作戦。
それは“地上での最後の戦い”と呼ばれていた。
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総裁室。
レイ、ナツキ、シュンの三人が静かに立つ。
総裁の背後のモニターには、西東京一帯の立体地図が映し出されていた。
「黒狼会の本拠は、西東京郊外にある地下複合施設だ。
元は軍の研究所跡地だが、現在は完全に鬼の領域と化している。」
「敵の兵力は?」とシュン。
「推定100体以上。そのうち、幹部級が5名。
そして――指揮を執るのは、ブラックタイガー創設期から仕える“地上監視官”だ。」
レイは唇を噛み締めた。
「つまり、最初の鬼組織の生き残り……か。」
総裁は深く頷く。
「ああ。奴らを倒さぬ限り、我々は宇宙へは進めない。」
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作戦説明を終えた後、技術班の主任・タケダが入室した。
「例の件、完成しました。」
運ばれてきたのは、三人専用の新装備。
宇宙への適応を見据えて設計された新型スーツ――
コードネーム〈アストラギア〉。
「真空圏でも機能する。だが今は、地上戦でその性能を確かめてほしい。」
ナツキが手袋を嵌めながら言った。
「軽いのに、なんか力が湧いてくる……」
「血気の流れを最適化してあるからな。君たち3人での同調率は98%。完璧だ。」
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夜。
訓練エリアでは、三人がそれぞれの型を確認していた。
風を操るレイ。
水を纏うナツキ。
炎を宿すシュン。
三人の力が交差するたび、空間が震える。
教官となったナツキの母・ミズハが、穏やかに見守っていた。
「あなたたちは、もうただの訓練生じゃない。
一つのチーム、そして希望の象徴よ。」
レイはうなずき、深く息を吸った。
「……母さんの願いを継ぐ。必ず黒狼会を止めてみせる。」
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翌朝。
全隊員が本部の中央広場に集結した。
艦艇〈ソラノア〉が整備を終え、上空で待機している。
総裁の声が響く。
「地上での最終決戦だ。
西東京を制圧し、すべての派閥を断ち切れ。
その先に――人と鬼が共に生きる未来がある!」
全隊員が右腕を掲げ、敬礼した。
レイ、ナツキ、シュンも静かに頷き、
新たな出撃命令を受ける。
「ゼロウィング、出撃準備完了!」
エンジンが唸りを上げ、機体が上昇していく。
その眼差しは、遠く西の空――黒狼会の潜む街へと向けられていた。




