第19章・第一部 新たなる翼
影蛇派との戦いから数週間。
ホワイトホース本部には再び活気が戻っていた。
その中で、ゼロウィングの三人――レイ、ナツキ、シュンは
ある人物の復帰を心待ちにしていた。
医療棟の扉が開き、白衣の姿が現れる。
穏やかな笑顔を浮かべたその人こそ、ナツキの母――ミズハだった。
「お待たせ、みんな。」
「ミズハさん!」
「もう無理はしないでくださいよ!」
ナツキが笑顔で駆け寄り、レイとシュンも頭を下げる。
ミズハは頷きながら三人を見渡した。
「これからは、あなたたちの教官として一緒に戦うわ。
……鬼と人の未来をつなぐために。」
その言葉に、三人の胸に再び火が灯った。
⸻
翌朝、作戦会議が開かれた。
巨大なスクリーンには、**新たに活動を開始した“朱牙派”**の動向が映し出される。
「朱牙派は、ヨーロッパ南部と東アジアに同時に拠点を構築している。
特に日本周辺でのエネルギー転送反応が異常だ。」
と、戦略班の分析官が報告する。
だが、その中で別の報告が場の空気を一変させた。
「――そして、新しい情報が入っています。
神崎ユキ、レイの母の生存が確認されました。」
会議室にざわめきが走る。
レイの瞳が大きく見開かれた。
「母さんが……? 本当に?」
「あぁ、偵察班がブラックタイガー本部の中枢で確認した。
どうやら昏睡状態にあるようだ。」
ナツキがレイの肩に手を置く。
「レイ……必ず助けよう。今度こそ、あなたの家族を。」
レイは深く頷き、拳を握った。
⸻
会議後、総裁から命令が下る。
「朱牙派の動きを抑えつつ、ユキの救出作戦を立てる。
まずは偵察班を先行させ、情報を集める。
レイたちは準備を整えろ。出撃は情報が揃い次第だ。」
ゼロウィングの面々はすぐに出撃準備へと向かった。
ミズハが教官として動きを指導し、三人は以前よりも精密な連携を見せる。
血気の制御、属性の融合、そして精神の統一――
“トリオ”としての力がさらに進化していった。
「風、水、火――それぞれが補い合うとき、真の“鬼ノ力”が生まれる。
あなたたちなら、朱牙にも負けない。」
ミズハの言葉に、レイたちは頷く。
⸻
その夜。
偵察班からの通信が入る。
『朱牙の本拠地を確認。位置は――鹿児島湾沖の海底遺跡付近。
強い血気反応あり。さらにブラックタイガー本部との通信ラインを確認。』
レイの心臓が高鳴る。
そこには、母ユキの意識が繋がっている可能性がある。
「……ついに、つながったな。」
総裁の声が響く。
「ゼロウィング、出撃準備。
目標――朱牙派の殲滅、そして神崎ユキの救出だ。」
レイは静かに立ち上がり、空を見上げた。
夜の風が頬をなでる。
「母さん……もう一度、会いに行く。」




