第16章-1 初潜入ロンドン
第一節 霧の都に降り立つ
厚い雲を抜け、空上艦艇がゆっくりとロンドン上空に姿を現した。
眼下に広がる街並みは、重く垂れこめた霧に覆われ、街灯の光がぼんやりと揺らめいている。
レイ「……これが、ロンドン支部のある街か。」
ナツキ「日本とは空気が違うね。なんだか、冷たい。」
シュン「雰囲気が重い。鬼が潜んでてもおかしくねぇな。」
彼らは任務で初めて本部外へ派遣された。
目的は――ロンドン支部の現状確認と、派閥《影蛇》の動向調査。
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第二節 ロンドン支部との邂逅
霧の奥に立つ、黒い鉄扉の建物。
その奥がホワイトホース・ロンドン支部の本部だった。
中へ入ると、欧州の建築様式を取り入れた石造りの廊下が続き、
奥のホールでひとりの男が彼らを迎えた。
「遠路はるばる、ようこそ。私はロンドン支部長、アーサー・グレイヴスだ。」
白髪混じりの髪を後ろで束ね、鋭い青い瞳を持つ男。
軍人のような威厳と、どこか冷静な観察眼を感じさせた。
アーサー「現在、我々は《影蛇》という新たな派閥の行動を追っています。
奴らは英国全土で小規模な攫いを繰り返し、
“鬼と人間を融合させる実験”を行っているようです。」
レイ「……融合?鬼と人間を?」
ナツキ「そんなことをすれば、どちらも壊れてしまう。」
アーサー「ええ。だからこそ、君たちの力が必要なのです。」
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第三節 作戦準備
ロンドン支部は本部と違い、旧地下鉄網を利用した要塞構造になっていた。
ブリーフィングルームには立体マップが投影され、影蛇の拠点候補が赤く点滅している。
アーサー「我々の情報では、北部の廃工場に“実験施設”が隠されている可能性が高い。
ただし、そこには“幻影使い”と呼ばれる影蛇の幹部がいる。」
シュン「やる気が出てきたな……!」
ナツキ「ちょっと、落ち着きなよ。まだ作戦段階。」
レイはマップを見つめながら言った。
「なら、俺たちはその幻影使いを引きつけて時間を稼ぐ。
支部側が裏から突入し、捕獲を狙う……それでどうですか?」
アーサーは少し微笑んだ。
「いい判断だ、神崎レイ。――やはり、君は“風の継承者”だな。」
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第四節 戦いへの備え
翌日から3人は支部の訓練場で現地訓練を開始した。
重力を模したシミュレーター、霧の中での索敵訓練、
さらには銃火器と血気術の複合戦闘まで――全てが実戦を想定した過酷な内容だった。
シュン「この訓練、まじでやばい!重力10倍とか聞いてねぇ!」
ナツキ「ロンドンの鬼は日本より速いんだって。足腰鍛えなきゃ!」
レイ「……集中しろ。俺たちは遊びに来たんじゃない。」
夜、訓練を終えて支部の屋上に出ると、
霧の隙間からビッグ・ベンの時計塔がぼんやりと姿を見せた。
ナツキ「なんか、不思議な街だね。
怖いのに、綺麗。」
レイ「……この静けさの裏に、きっと“境界”がある。」
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第五節 誘拐報告
翌朝――支部に緊急通信が入った。
報告官の声が震えている。
『ロンドン市内、ハイド・パーク近くで人間の少女が2名誘拐されました!
目撃者によると、犯人は“異形の影”――おそらく鬼です!』
アーサー「影蛇が動いたか……!」
レイ「行きましょう、今すぐ!」
3人は装備を整え、霧に包まれた街へと飛び出した。
初めての異国の戦場――
それは“世界規模の鬼との戦争”の幕開けでもあった。




