表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼ノ境界(おにのきょうかい)  作者: Helbon
season1

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/25

第13章 箱根ノ境界

第一節 黒雲の箱根


箱根山。

その山頂には、黒い雲が渦を巻き、稲光が絶え間なく走っていた。


〈鳴神・風刃〉が降下し、レイたちトリオは山の地下施設入口に到達する。

地面には古代文字が刻まれ、鬼の血で封印が描かれていた。


シュンが息を呑む。

「……これが、ブラックタイガーの本拠地……。」


ナツキが周囲を見渡し、

「境界核のエネルギー反応、すぐ下ね。」


レイが頷き、

「行こう。終わらせるために。」


三人が降下エレベーターに乗り込み、

暗闇の中へとゆっくり沈んでいく。



第二節 母の声


深部へと進んだその時――

突如、照明が落ち、柔らかな光がレイの前に現れた。


「……レイ。」


聞き覚えのない、けれど胸の奥に染みついた声。


光の中から姿を現したのは、一人の女性だった。

長い銀の髪に、穏やかな瞳。

どこかナツキに似た優しさを持つその人は――


「……お母さん……?」


ナツキとシュンが息をのむ中、レイが呟いた。


女性は静かに微笑み、

「久しぶりね、レイ。

 あなたを手放したこと、ずっと心に残っていた。」



第三節 手放した理由


母――神崎ユキは、ゆっくりと語り始めた。


「あなたを手放したのは、ブラックタイガーの血を継いでいたから。

 あの時、私は組織から逃げることを決意した。

 けれど、私の血を追う者がいた。

 だから、あなたを“鬼族の安全圏”――義兄のもとに預けたの。」


レイの手が震える。

「じゃあ……姉さんは?」


ユキの表情が一瞬曇る。

「アヤは、私を守るために残ったの。

 そして……彼女だけが、総裁の血を濃く継いでいた。」


ナツキが静かに口を開く。

「でも……どうして私の名前を?」


ユキはその問いに、微笑で答えた。

「ナツキ……あなたも、久しぶりね。」


ナツキが驚いた表情を浮かべる。

「え……私を、知ってるんですか?」


アヤは頷いた。

「あなたとレイは、同じ病院で生まれたの。

 お母さん同士も、仲が良かったのよ。」



第四節 交差する運命


ユキの言葉に、ナツキは目を見開いた。

「じゃあ……レイとは……」


ユキが優しく言葉を継ぐ。

「血は繋がっていないわ。でも、あなたたちは同じ日に生まれた“境界の子”たち。

 あの日、世界の境界が一瞬だけ揺らいだ。

 その時に、あなたたち二人が産声を上げたの。」


レイは息を呑んだ。

「……俺たちは、“同じ時に”生まれた……。」


アヤが微笑む。

「だからこそ、あなたたちは出会う運命にあった。

 人と鬼、光と影、風と水――互いを導くために。」


ナツキは静かに涙を拭い、

「私たちが出会ったのは……偶然じゃなかったんだね。」



第五節 母の願い


ユキがレイの肩にそっと手を置く。

「レイ……あなたに、もう一つ伝えたいことがある。」


「ブラックタイガーの総裁――それは、あなたの父。

 彼が今、“境界核”を完全起動させようとしている。」


ナツキとシュンが同時に驚く。


ユキの瞳が少し揺れた。

「でも、あの人も最初は人間と鬼の共存を望んでいた。

 ただ、力を恐れ、世界を守ろうとして――狂ったの。」


レイはゆっくりと拳を握った。

「……なら、俺が止める。

 父さんが壊そうとする境界を、俺が守る。」


ユキは静かに頷き、

「その時、アヤが立ちはだかるかもしれない。

 でも……彼女もまた、あなたを救いたいと願っている。」



第六節 再び進む道


ユキの身体が光に包まれ、薄れていく。


「レイ、ナツキ……どうか生きて。

 境界の子として、誰よりも優しく、強く――。」


光が消えると同時に、

施設の奥で轟音が鳴り響いた。


シュンが警報音を確認する。

「境界核が動き出した! ブラックタイガーの本部中枢が稼働開始!」


レイは母の消えた場所を見つめ、

「……ありがとう、母さん。必ず終わらせる。」


ナツキがうなずき、

「行こう、レイ。真実の先へ。」


三人は走り出す。

境界核へ――父と姉が待つ、世界の中心へ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ