表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼ノ境界(おにのきょうかい)  作者: Helbon
season1

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/33

第11章 秩父の影

第一節 短い休息


羽田での激戦から数日後。

ホワイトホース本部は、損傷した設備の修復と情報整理に追われていた。


レイは医療棟で簡易検査を終え、

「異常なし」と書かれた報告書を受け取る。

しかし、彼の胸の奥にはまだあの“黒い炎”の感触が残っていた。


ナツキとシュンも同様に休養を命じられ、

3人はしばらく静養期間を与えられる。


「休みって言われても、落ち着かねぇよな。」

シュンが食堂でジュース缶を開ける。


「……姉さんのことも、羽田の封印のことも、全部中途半端だ。」

レイは窓の外を見ながら呟いた。


ナツキが優しく微笑む。

「でも、あの戦いで救えた人もいた。少しは自分を休ませよう。」


3人が静かに笑った、その夜――

本部に、再び“警報”が鳴り響いた。



第二節 秩父山中の反応


「こちら監視班! 秩父山系の奥地に鬼気反応を確認! 反応数は二!」

オペレーターの声に司令室が緊張に包まれる。


レン教官がモニターに目を凝らす。

「反応波形、安定してやがる……まるで“生体信号”だ。」


総裁が問いかける。

「所属の可能性は?」


「……該当あり。技術班のIDコードです。

 ――羽田事件の際に誘拐された技術班員の波形と一致!」


司令長カズマが立ち上がった。

「生存反応か……!?」


「はい。ただし、周囲に小型反応が多数。護衛か、監視かは不明です。」


総裁が即座に命じる。

「救出作戦を開始する。ナツキ・シュンを中心に、A級部隊を派遣せよ。

 レイはまだ医療観察中につき、後方待機とする。」



第三節 出撃


夜明け前。

ナツキとシュンは山岳用戦闘装備に身を包み、

ホワイトホースの輸送機に乗り込んだ。


「レイが来れないのは残念だが……今回は俺たちでやるしかねぇな。」

シュンが拳を鳴らす。


ナツキは頷き、

「レイのためにも、助け出そう。あの技術班の人たち……ホワイトホースの未来のために。」


機体が上昇し、秩父の山並みへと向かう。

霧に覆われた山々の中、

微弱な光を放つ古いトンネルが見えた。


「反応源、あそこだ。」


部隊は静かに降下し、地上へ。

湿った空気の中に、確かに“鬼気”が混じっていた。



第四節 遺された施設


ナツキとシュンは仲間たちと共に、

古い研究棟のような建物へと足を踏み入れる。


内部には崩れかけた機材と、

壁一面に貼られたホワイトホースの古いロゴ。


「ここ……昔の支部跡か?」


奥へ進むと、

半壊したガラス室の中で二つの人影が見えた。


「……! あれは!」


ナツキが駆け寄ると、

そこには拘束されたまま意識を失っている技術班員二名の姿があった。


「間違いない……誘拐された二人だ!」


シュンが通信を開く。

「こちら現場班! 発見しました! 二名とも生存しています!」


しかし、直後に反応音が鳴り響く。


――鬼気反応、周囲に急増。


「囲まれた……!」



第五節 山の亡霊たち


霧の中から、黒い影がぞろぞろと現れる。

人型ではあるが、どこか無機質――

まるで“機械と鬼”を混ぜたような存在。


「これ……まさか、ブラックタイガーの試作体!?」


ナツキが水の型を発動。

「〈氷月連波〉!」

冷気が走り、数体を凍らせる。


シュンは火の型を纏い、

「〈紅蓮烈破〉ッ!」

炎が霧を裂き、影を焼き尽くした。


だが敵は次々と再生し、数を増していく。


「キリがねぇ!」


そのとき、通信に割り込む声が聞こえた。


『……こちらレイ。すぐに援護に向かう。座標を送れ!』


ナツキが驚く。

「レイ!? 待機命令は!?」


『聞こえなかった。今行く。』


雲間を裂いて、一機の戦闘機が降下してきた。

その翼には――風の紋章。



第六節 風、再び


レイが着地と同時に、風の型を解放する。

「〈風牙・天嵐〉――!」


山全体が震えるほどの突風が吹き荒れ、

敵の群れを一掃した。


シュンが笑う。

「やっぱり来やがったな!」


レイは微笑み、

「黙って休んでられるかよ。」


ナツキが小さく頷く。

「無茶して……でも、ありがとう。」


技術班員を救出し、

隊は全員無事に帰還した。



第七節 帰還、そして謎


本部に戻った後、

技術班の一人が目を覚まし、

驚くべき言葉を残した。


「……奴らは、“境界核”を動かそうとしていた……

 羽田の次は……“箱根”だ……」


その言葉に、

総裁と司令長が目を見開く。


「箱根――次の“境界”……。」


レイは拳を握りしめた。

「姉さん……次はそこか。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ