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アビリティ×ウェポン  作者: まきしまむ・メロン
ガンマンの世界
6/20

鍾乳洞と開く石版

ここが鍾乳洞の入口か……。


巨大な岩肌の奥に口を開ける洞穴を前に、ユーロックは目を細めた。


「封鎖されてるわね」


厚い鉄扉が入口を塞いでいる。人の手が入っていないことは一目でわかった。


「誰かに開けてもらうしか無さそうだな!」


リークとバレクが踵を返そうとした、その瞬間――

背後で、バン!と乾いた銃声音が洞内に反響した。


振り返ると、ユーロックが封鎖された扉の前にポータルを展開し、親指でそれを指し示していた。


「行くぞ……」


「あ、あぁ……」


困惑した表情のまま、二人はユーロックの後に続く。

ポータルを抜けた瞬間、ひんやりとした空気が全身を包んだ。


微かな光が鍾乳石に反射し、洞窟内部はまるでオーロラのように幻想的に照らされている。


「すごく広いのね、鍾乳洞って! 初めて見たわ」


「ここ、奥に妙な姿をしたレギオンがいるらしいなぁ……なぁ嬢ちゃん……」


「とりあえず奥に進むぞ……」


足音だけが洞内に響く。

どれほど時間が経ったのか分からない。


やがて深部まで辿り着いた三人は、同時に足を止めた。


「何かいる? なんか獣みたいな鳴き声がする」


「これは……レギオンの鳴き声か?」


「ガルルルッ……」


低く唸る声と共に、奥の闇が蠢いた。

次の瞬間、巨大な影が姿を現す。


四足歩行の下半身は後ろ向きに曲がり、蹄が地面を叩く。

上半身は黒い体毛に覆われ、凄まじい筋肉と剛腕を誇示していた。

頭部はヤギ、牛のような角が伸び、右手には巨大な鋼鉄の斧。


「グォォォォォーッ!」


三人を視認した途端、大きな口からヨダレを垂らしながら咆哮を上げ、斧を振り上げて突進してくる。


【次元界銃ディメンションシューター!】


「来るぜ! 嬢ちゃん!」


「私に任せて!」


リークは素早く照準を定め、レギオンの足元へ弾丸を撃ち込んだ。

地面は瞬時にぬかるみ、レギオンの体勢が崩れる。


「今よ、ユーロック!」


ライフルを構え、レギオンの眉間に照準を合わせる。

引き金を引こうとした――その瞬間。


視界を覆うように、巨大な斧が空を斬り、回転しながら飛来した。


「まずい……!」


バレクは咄嗟にショットガンを自身に撃ち込み、超スピードでリークとユーロックを抱え上げる。

斧は空振りし、ブーメランのようにレギオンの手元へと戻っていった。


「私がアイツの後ろにポータルを開く」


「そこから俺達が攻撃すればいいわけだな!」


「今だ! 背中を撃ちまくれ!」


だが――攻撃は通らない。

レギオンは咆哮と共にポータルへ腕を突っ込み、二人を無理やり引きずり出した。


「リーク! バレク!」


抵抗も虚しく、二人はレギオンに捕らえられ、無惨に食い殺された。


――その光景が、ユーロックの脳裏に焼き付く。


恩師の死がフラッシュバックし、胸の奥から悲しみと怒りが込み上げてきた。


なんなんだ……


「お前らは一体なんなんだぁ!!」


昂った感情に呼応するように、ディメンションシューターが黄色く輝きを放つ。


ユーロックは巨大なレギオンに銃口を向け、迷いなく引き金を引いた。


【ディメンションショットブレイク!】


電子音が洞内に響いた。


突如、ユーロックの周囲に無数のポータルが展開される。

そこから突き出したディメンションシューターの銃口が、一斉に弾丸を放った。


雨のような銃弾がレギオンを貫く。

さらに腕、脚、足首にポータルが展開され――


ユーロックが指を鳴らす。


次の瞬間、ポータルは一斉に閉じ、レギオンの身体はバラバラに分断され、地に崩れ落ちた。



街へ戻り、ユーロックは男の前に立った。


「討伐したぞ……」


「助かったぜ、ありがとな……

そういえば二人がいねぇけど……」


俯いたユーロックの様子を見て、男は察したように呟く。


「そうか……」


「石版の場所を話してもらおうか……」


「あぁ、約束だからな……

この街から北に半日歩くと、白い大理石でできた神殿がある。その地下に石版はある」


ユーロックは何も言わず、街を後にした。


しばらく歩くと、荒野の先に建物が姿を現す。


「あの男が言ってた通りあったな……」


ギリシャ神話に出てくるような神殿。

ウエスタンな建物ばかりのこの世界では、あまりにも場違いな存在だった。


中へ入ると、輪のような吹き抜けがあり、その下を覗くと石版が建っている。


緊張がほどけ、下半身から力が抜ける。

ユーロックはその場に座り込み、溢れる涙を止められなかった。


あれが……長年探し続けてきた石版……


犠牲になった者もいるが、ここまで来られたこと、旅に付き添ってきた仲間たちへの感謝が胸を満たす。


地下へ降りる階段を見つけ、石版の前に立つ。


こいつをこの武器で撃てば、次元を超えるポータルが開くのか……


引き金を引き、石版に弾丸を撃ち込む。

すると撃ち込まれた箇所から、空間が歪むようにポータルが出現した。


眩しいな……


ポータルの奥から白い光が溢れ出す。

唾を飲み、息を整え――ユーロックはその中へ飛び込んだ。


光に包まれながら、思う。


この先に待つのは、どのような世界なのか――。


ガンマンの世界...完。


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