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偽りの父娘ですが、勇者討伐の旅に出ます!  作者: てちてち


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02 久しぶりの食事




 露店で買ったスープとパンと焼いた串肉。



 俺はスープとパンだけ食べた。



 久しぶりの食事過ぎて、肉は入らなかった。明日にでも食べよう。



 あー、生き返る。身体が喜んでいる。



 あの子はキレイに食べたようだ。良かった。食べる元気があるようだ。ちゃんと動けるようになったんだな。



 また後で食料が必要だな。甘い物も買ってくれば良かった…

 


 幼子を抱きかかえて歩くのに必死で、そこまで頭に無かったよ。



 俺の腹が落ち着いたせいか、色々と考えてしまう。お茶も欲しいな。



 あの子に声を掛けて、また買い物に行ってくるか。



 でも…、一人にして大丈夫だろうか。大丈夫だと言いそうだけど。



 俺はコンコン、とシャワー室の扉を叩き用件を言う。



「すまない。もう少し必要な物があるから、買い物に行って来てもいいだろうか?一人で待てるか?」



「はい、大丈夫です。ちゃんと戻って来て下さいね」扉越しに娘が答えた。



「ちゃんと戻るよ。お前も部屋から出るなよ」俺は娘に告げて部屋から出た。



 俺を信用していないのかな?する理由が無いか。金持って逃げるとでも思ったかな。



 食事奢ってもらったから、そんな事しないのに……   はぁ〜。




◆◇◆◇◆◇



 俺は女将に出掛けると伝えて、娘が眠っているから部屋には誰も寄越さないよう言っておく。



 さっきとは違う古着屋でローブを二枚購入。



 茶葉と甘い菓子と、少し草臥れた靴も二足買った。



 もうすぐ日が暮れる。今日は久しぶりに良い天気だった。



 俺は空を見上げて、この数時間で起きた出来事を思い返す。



 自分の手にある荷物と、あの子の顔が思い浮かぶ。



「本当に俺、何してんだろう…」



 呟いて歩き出す。自分がやらかした償いのため?誰だか分からない声に言われたから?



 預けられてしまったからには、育てなければいけないのか?



 行動と思考が合わないが、何となく使命のようなものを与えられた気がした。



 面倒だな…と思いつつ少し嬉しい。誰かに頼られている事が、生きる希望になりそうだ。



 首を振りつつ宿に帰る。



 俺はもう少し、生きて良いだろうか。あいつら許してくれるかな…?




◆◇◆◇◆◇



 部屋に戻ると、女の子は新しい服を着てベッドで眠っていた。


 

 洗ったばかりの髪は、やはり金色に輝いて見える。プラチナブロンド…?



 まぁー、後でいいか…



 女の子が眠っている間に、今まで着ていた服を洗濯した。俺のもね。



 風魔法を使って服を乾かした。久しぶりに使ったなぁ〜、魔法…。余り乾かなかった…。



 女の子の服は麻で出来たワンピース。平民より農家の子供が着るような服だ。ツギハギだらけ…



 靴はボロボロのサンダルだ。どう言う生活を今までして来たのだろう?



 俺は買ってきた靴をベッドの脇に出しておいた。この子、喜んでくれるかな。



 音を出さないようコソコソ動いたつもりだったが、女の子が目を覚ましてしまった。



「すいません、眠ってしまいました。色々買ってきて頂いたみたいですね」女の子は頭だけを動かし、壁に掛けた洗濯物を見ている。



「俺こそすまん。起こしてしまったな」俺が買ってきた物を見せてやると、ホッとした顔を見せた。



 やっぱり戻って来ないと思われてたか。



「そろそろ話はできるか?いい加減色々知りたいんだが?」女の子に目線をやりながら、俺は荷物を片付けた。



 女の子は目を擦りながら、「はい、理由を話します」と言った。




◆◇◆◇◆◇



 お茶と菓子を出してやり、俺は椅子に女の子はベッドに腰掛けた。



「まず、あなたを巻き込んでしまい、申し訳ありませんでした」



 女の子が小さな頭をペコリと下げた。両手はギュッと握りしめ、新しく買った粗末なスカートを掴んでいる。唇まで噛んじゃって…



「気にしなくていい。俺はユリウス・ガーナー。元騎士団長だ。と言っても祖国はもう無いがな……」俯きながら指で頬を掻く。



 自分を騎士団長と言うなんて、俺も諦めが悪いなぁ〜…



「祖国が亡くなったのですか…?それは戦争で?」女の子が痛まし気に俺を見た。



「そうだ。ガリウレス王国はエルダーナ帝国との戦争で敗けた。二年前だ。」俺は唇を噛んだ。



 ハァ〜、頭から離れないあの光景。



「王族も貴族も兵士も民も皆、殺されてしまった。」話ながら声が震える。幼子に涙は見せたくない……



「なのに俺は、一人で逃げ延びてしまった。情けないよ。恥ずかしいよ。今生きていることが辛いんだよ…」女の子の顔を見ないよう、俯いたまま話す。



「だけど、お前を預けられて少しだけ俺は喜んでいる。生きようとしている。自分が分からない……恐ろしいよ」自分の手を見るとガタガタ震えている。ぐっと握り抑えるが、余計に力が籠もるばかりだ。



「なるほど。だから私はあなたに預けられたのですね」



 女の子は訳知り顔で頷いていた。




◆◇◆◇◆◇



 「えっ」と思いつつ顔を上げると、女の子と目が合った。力の籠もるその瞳は、やっぱり綺麗なスカイブルーだ。



「私は転生者です。以前の名前は神崎恵麗奈。日本と言う国の、此処とは別の世界で生きていました。私は向こうの世界で一人の男に殺されました。男の名前は黒木武利。元恋人です。別れ話の最中の事でした。私の前世は余り良いものではありませんでしたが、それでも一人で頑張って生きていました。初めてできた恋人が黒木で…」



「ちょっと待ったっ!!」俺はつい大声で話を止めてしまった。



 イヤイヤイヤ、何を言っている?転生者?ニホン?恋人?殺された?情報が多過ぎるぞ!



 両手を目一杯突き出し話を止めた。ふぅふぅ息を整えながら考えた。俺はこの子の話を聞いていいのだろうか…。

 


 トンデモない事に首を突っ込んでいるのではないだろうか?



「どうかしましたか?これからもっと大事な話があるのですが」女の子の目が真っ直ぐ俺に向けられる。



 コレ以上の大事な話って?何だか自分が生きるだ死ぬだの言っていた事が恥ずかしくなってしまった…。



 この子は一度死んで、この世界に転生したって事だよな。恋人がいたなら大人だったハズ。



 なんで3歳児なのに、こんな話し方なのか分かってしまった…。



 前世の記憶のまま話しているのか。殺されて辛かっただろうに、過去を何でも無いかのように話すなんて。



 転生か…。絵本にあったなぁ〜そんな物語が…。



 俺は思わず天井を見上げてしまった。



「あのー、続けても?」幼女が顎に人差し指を当て、首を傾げている。何だソレ。可愛いゾ。



「ああ、すまん。色々情報が多過ぎて、頭が混乱してしまった…」俺は頭を掻きながら息を吐いた。



 ふー、心して聞かねばならないな。このまま終わりそうも無いし。







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