表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
偽りの父娘ですが、勇者討伐の旅に出ます!  作者: てちてち


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/23

15 私…死んだよね?

ここからエレナ視点になります

※暴力表現有り  




「うるせーなっ!お前は黙って金だけ出してりゃいいんだよっ!俺に逆らってんじゃねーよ!」



 そう言われて私、神崎恵麗奈は恋人だった黒木武利に脇腹を刺されて死んだ。



 愛していたかと問われれば、愛していたわけでは無いと思う。



 一人でずっと生きて行くつもりだったが、もう三十歳だったし、私もどこか焦ったのかも知れない。



 付き合い始めてすぐ、黒木が私の名前を勝手に使い闇金から金を借りていた。



 私は闇金に追いかけ回され、取立てが会社にまで来るようになった。



 もちろん、私の借金では無い。



 周りの人達は、初めは庇ってくれたけど段々私から離れて行った。



 私にも責任があったとは思う。黒木の人柄を見抜けなかったし、分かった時点で全てを捨ててでも逃げれば良かった。



 だけど…やっぱり、今までの生活を捨てるのに躊躇してしまった。



 皆が私を責め立てた。



 私が黒木に別れを切り出すと、毎回殴られた。顔以外は痣だらけで、長袖とボトムス以外は着れなくなった。



 私は全てが嫌になっていた。



 だからあの日…、サバイバルナイフをチラつかせて、私に迫って来る黒木を避けなかった。



 ドスンッと言う衝撃と共に、全身に走る感電に似た痛み。立っていられなくて、腰から崩折れた。



 これで黒木から逃げられる……。



 妙な安心感があり、私はふふふと口から血を吐きながら笑いが漏れる。



 自分でサバイバルナイフを引き抜き、体に抱え込んだ。どうしてそうしたのか、自分でも分からない。ただ後に、それは正解だったと気付く。



 黒木は「ざまぁねーな」と笑っていた。



 私が死ぬまでの数秒の間に、黒木の体が光ったように見えた。



 黒木は何か言っていたようだ。だが私には、もう何も聞こえなかった。



 そして私の意識は、暗闇に落ちて途絶えた。




◆◇◆◇◆◇



「ちょっとぉ〜、いつまで寝てんのよぉ〜。早く起きなさいよねっ!」



 ガツンッと私の体に衝撃が走った。だが痛みは無い。足で蹴られた事だけは分かった。



 体を起こそうにも動かないし、目も開かない。なぜだか異様に体が重いのだ。(私は死んだハズでは…?あの傷で死ななかったのかな…まさかね)



 キンキン声で怒鳴る女の声が気に障るが、今はそれどころでは無い。



「〜〜〜。〜〜〜、〜〜〜〜!」 しわがれた男の声が聞こえた。



 何を言っているのか聞き取れないが、寝ている私の横で庇うような仕草をしているようだ。



(この人達誰よ。私の事は放っといてよ)私の意識はそこで途切れた。





 どのくらい経ったのか、またあのキンキン声で意識を戻した。



(病院なのかな?だとしたらずい分態度の悪い看護師だな…)またも私の体に衝撃が走った。しわがれ声の人が何かを言っている。



「アタシがわざわざ来てやったのに、何で目覚めないのよっ!使えない子ねっ!このグズっ!お前なんか拾うんじゃなかったわっ!」ドスドスと蹴られる。



「それは〜〜、〜〜〜でしょうが…」



(うるさいなぁ、どうでもいいよ、もう。何言ってんのか分かんないし、それより喉が渇いたなぁ〜…)そこでまた意識が途絶えた。





 ある時、口の中に甘酸っぱい液体が入ってきた。喉が渇いていた私はゴクゴク飲んだ。



 すると、体が温かくなってきた。



「これは神桃と言う実を搾ったのだよ。ゆっくり飲みなされ」いつものしわがれ声の男だった。



「お前そんな事勝手にやって、後で女神様に叱られたって知らねーからな!」



「責任ならワシが取ります。こんな幼子にあんな無体な事をしているのに、あなたは何も思わないのですかっ!」



「うるせー!クソジジイ!俺に指図すんなっ!俺は女神様の側にいるだけで満足なんだよ!こんな死に損ない、知ったことかっ!」



 若い男の声を初めて聞いて驚いたが、その若い男がじーさんと私を足蹴りにしている。



「ちょっと!止めなさいよっ!」私の声がやけに高く、そして目が開いた事に驚愕した。



「私、生きてるの?それにここどこよ?」目に入る景色はただの空間にしか見えない。何も無いのだ。



 初めて目にしたしわがれ声の男は、お年寄りだった。



 じーさんは、私が声を出した事に喜んでいた。「お目覚めですかな?良かった、間に合いましたな」とても安堵した表情を見せる。



 若い男は鼻息を荒くしたまま、どこかに消えて行った。



「ここはあなたのいた世界とは、違う世界の神界です。」



「はい?何言っちゃってんの?私死んだでしょ?死んだよね?」



「そうですね。あなたは死んで魂になり、この世界に来てしまいました。詳しい話は女神様からお聞き下され」じーさんは私に土下座をしていた。



「えっ?何で土下座?女神?何の冗談よ!声はやけに高いし、体は動かないし、何なのよ!」私は大声を上げて泣き出してしまう。大人なのに恥ずかしいと思ったが、次から次へと涙が溢れて止まらないのだ。



「お〜よしよし。泣かないで下され」そう言ってじーさんが胸をトントン叩いた。



 私の意識はまた途切れた。




◆◇◆◇◆◇



 それからのじーさんは、甲斐甲斐しく世話を焼いてくれた。



 本来、女神がやらなければいけなかったらしいが、全くと言っていい程あの女は私の前に現れなくなっていた。



 ようやく目を開け続けられるようになった頃、あの女が私の元に来た。



 その姿を初めて見た時は、本当に驚いた。



 着飾った格好が余りにも滑稽過ぎた。



 顔はド派手なメイク。ぼってりした唇に真っ赤な口紅をたっぷり塗り付けている。人間でも食べましたか?ってぐらいだ。


 服は中世のお姫様とかが着そうな、レースをふんだんに使って胸元がパックリ開いたドレス。


 お胸が豊かとは言い難く…。


 アクセサリーもこれでもかっ!と言う程着けていて、逆に重そうだなぁと思ってしまった。その手で誰か殴ったら自分が怪我するよ?


 その孔雀の羽っぽい扇は何?手に持ったら邪魔じゃない?デカ過ぎでしょ。



 アンタの美意識どうなってんの?



「何ですってぇーー!!」ただ心の中で感想を述べていただけなんだけど、あの女が持ってた扇で私をビシバシ殴って来た。



 痛くは無いけどムカついた。動けない私をただ殴りつけるなんて、絶対仕返ししてやる…。




◆◇◆◇◆◇



「お止め下され!こんな幼子に何て事を!やっと安定して来た所なんですぞ!」



「アンタがちゃんと世話をしなかったからでしょ!アタシが悪いんじゃないわよっ!」今度はじーさんを扇で殴り始めた。



 何なんだこの女は…。



「いい加減にしてよ。どうなっているのか、誰か説明してよ!」



 そんなやり取りをしている私達を見て、あの若い男はニヤニヤしているだけだった。



「フンッ、これぐらいで勘弁してやるわ。それよりもやっと起きたのね。まぁいいわ。あなたにはやってもらう事があって、アタシが拾ってやったのよ。ありがたく思いなさい」



 何なのこの女。何でこんなに高飛車な態度なのよ!



「はぁ〜。それで?ここはどこですか?あなたは?」



 私が聞くと、女が面倒くさそうに答えた。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ