これまでのあらすじ
これまでのあらすじを振り返る。
もしも、現在の日本が内戦になったら?
想像できるだろうか?
もしも日本が戦争に巻き込まれたら、それはおそらく、敵対する他国からミサイルが飛んできて、直接着弾して、被害が出る。それに対して日本も敵基地に反撃をする、というものだろう。
しかし、もしもその相手が、敵対する他国ではなく、日本人同士だったら?
おそらく、以下のプロセスを経て、日本は内戦へと突き進むのではないかと予測した。
とある道府県に、極端な思想を持つ指導者が現れる。当初はまさか、そんな奴が支持を得るなど考えられない、と思われていた。
ところが、既成の政治体制にうんざりしていた有権者たちから、熱烈な支持を受け、ついにその道府県の首長になる。
そして、そいつは突然、日本からの分離独立を宣言し、独立戦争を起こした。
そして、たちまち近隣の県を併合し、勢力を拡大していった。
物語は、ここから始まる。
朝起きたら、日本が内戦になっていた。
いったいなぜ、そんなことになったのか、とんと見当がつかない。
「ミサイルが着弾した!国会議事堂に着弾した!東京スカイツリーにも着弾した!」
「東京都庁もやられた!六本木ヒルズも、着弾した!もうだめだ!」
「まもなく東京への地上侵攻が始まります!東京からの退避勧告が出ています!
速やかに退避を・・・!」
ドーン!
日本が内戦になるとは、どういうことなのか。
日本は分断され、いくつかの勢力が争う時代に。
まさに現代の応仁の乱から戦国時代に突入していく時代となる。
あ、ちなみに、申し遅れましたが、私は
この物語の主人公、浅井慎一と申します。
手始めに、日本は『東日本国』と『西日本国』に分断される。
さらに『北日本国』が分離独立し、『新琉球国』という国も分離独立することになる。
この攻撃による被害状況が伝えられる。
永田町、霞ヶ関、国会議事堂、東京都庁、六本木ヒルズ、東京スカイツリーが被害を受けた。
事務次官3人、法務省、外務省、文部省の
事務次官が死亡、国会議員も12人が死亡した。
今回の攻撃を受けた箇所は、いずれも政治の中枢か、今の日本を象徴する場所といえるところ。
ところが、秋葉原や、渋谷、東京タワー、東京駅、銀座の和光の時計台などは、なぜか無傷のまま。
しかし、内戦が長引けば、今は無傷なところも被害を受けることは避けられないだろう。
このようなことになるのは、太平洋戦争末期の空襲の時以来だ。こんなことになるとは、誰にも予想がつかなかった。
中央政府であるはずの日本政府が全く統制力を失い、自治体もあてにならない、そうなってくると、力こそ全て、まさに乱世に突入していく。
内戦になる要因は、さまざまなものがある。
世代間の対立、身分の対立、思想、信条の対立、あるいは音楽の好みの違いも、対立と分断につながることがある。
日本が内戦になる理由は、さまざまな理由が考えられるが、これはそのうちの一つのケースだ。
天皇制の今後に関して、男系維持か女系天皇かで、意見が対立していた。
もし仮に、女性・女系天皇が誕生したとする。すると、男系維持を主張する者たちは反発する。これが、日本の内戦の原因となる。
「とうとう女系天皇になってしまった。
このままでは女尊男卑になってしまう。」
「よし、それなら我々も、別の国を作って、やつらの言うことなど、聞かないようにしよう。」
と、男系維持派は、皇嗣家を担ぎ上げ、西日本国を建国する。
一方の東日本国では、女系天皇がそのまま天皇となり、二代後も、三代後も、女の子が産まれた場合は、そのまま女王になる、ということも決定された。
さらに、意見の合わない国民は、強制移住を命じられた。その中には、どっち付かずの意見の国民たちもいた。
私は浅井慎一。ついに私の家にもミサイルが直撃し、私は住む家を失った。
そして私は、避難用シェルターに身を寄せることになったのだった。
そこは個室だった。幸いなことに、私は個室に入ることができた。他に頼れる者もいなかったので、個室に避難させるのには、受け入れる側も都合が良かったのだろう。
ちなみに、私は天皇制については、特に
男系とか女系とかではなく、どっち付かずだった。
とうとう、食料も配給制になったか。
現金の価値が戦争によって無くなり、まるで原始時代の物々交換に逆戻りしたかのようだ。
そして、レイプも公然と行われた。レイプされた後に、素っ裸のまま放置されるようなこともしばしば。とにかく、外出すること自体が危険となった。
個室では、インターネットが無制限に使えるようだ。インターネットで外の状況を見てみることにした。
しかし、この程度のことでは、もはや驚きもしないのだろう。なぜなら、内戦になったら、常に戦争状態、戦争状態が日常になる。これが日常、今起こっている現実になるのだ。
核戦争後の世界を舞台にした物語があったが、それはフィクションだから楽しめるものであって、フィクションではなく、
ノンフィクションになってしまったら、もはや物語の題材として楽しめなくなってしまうのでは?
さて、これからどうなってしまうのだろう。
自分以外がどうなろうが知ったこっちゃないような連中には関係の無いことだろうが、一応紹介しておく。
日本政府は全く統制力を失い、日本は4つの国に分裂した。その4つの国というのが以下の4つの国だ。
東日本国
関東甲信越、東海、北陸を領土とする。
名古屋までが東日本国、名古屋より西は、西日本国となる。
首都は東京。神奈川、千葉、埼玉は吸収合併されて、東京州となる。
ほか、群馬、栃木、茨城は、それぞれ独立州、山梨、長野、新潟は、甲信越州。
東海州、岐阜独立州、北陸州がある。
東日本国の基本的な思想、信条。
女系女子の君主を容認し、選択的夫婦別姓も認める。同性愛も認める。
望まない妊娠の場合は、中絶も認める。
奥能登の復興支援を続ける予定。
西日本国
京都より西、関西地方は西日本国。
首都は大阪。近畿地方の県は基本的にそれぞれ独立州として名を残す。
中国地方、四国地方、九州地方は西日本国の領土だが、広島や福岡は分離独立の動きあり。
基本的に、男系男子しか認めない。ただし、血筋でなくとも適任だと認められれば、君主となれる。
選択的夫婦別姓は認めない。同性愛、中絶も認めない。
中絶をした場合は、堕胎罪となり、服役することになる。
立てこもり犯や、無差別殺人犯は、逮捕もしないで射殺することが認められる。
北日本国
北海道、東北が日本から分離独立した。
首都は2つあり、札幌と仙台。
食料自給率100%を目指している。
食料自給率100%が実現したら、鎖国するという。外人を嫌いながら、食い物だけ外国からの輸入に頼るのは、虫が良すぎるからという。
獣が人間型の種族に進化し、共存共栄しているという。
新琉球国
沖縄が日本から独立。米軍基地から米軍を追い出し、本土の人間もパスポートが無ければ入国できない。
首都は那覇。沖縄本島と、周辺の諸小島を領有する。
尖閣諸島や、奄美大島も領有する。
なお、高校スポーツは、それぞれの国ごとに行う。全国大会は無くなり、それぞれの国の大会が全国大会の代わりとなる。
てめえら、ちゃんと文章読んでるのか
おんどりゃー!
まだまだ知らないこともたくさんあるが、簡単にまとめてみたところ、こうなる。
それぞれの国が自分たちの主張を繰り返す中で、渡り鳥生活といって、特定の国や地域に定住しないで、各地を渡り歩く、そんな人々が現れた。私もその中の一人だ。
どこの国にも属さない、どこの組織にも属さないで、まさに自らが覇者となることも可能となるご時世。
この際だから、日本中を旅してみようと思った。そこで、私と同じように渡り鳥生活をしている、ある女性と出会った。
中曽根愛菜
「初めまして。私の名前は中曽根愛菜。
聞いて。これからは、国家の力も、まもなく無力化すると思うの。
そうなると、戦争は国家によるものではなく、個人による、欲望のままに殺し合うという段階に入ると思うの。」
そうなれば、頼れるのは自分の戦闘能力、ステータス、スキルだけ。
そうなると、自分の戦闘能力、ステータス、スキル、それを上昇させるためには、チート能力を身につける必要があるというのだ。
戦争が激化すれば、いずれ貨幣制度も崩壊し、今あるお金は使えなくなる。
紙幣は紙くず同然になり、一方で硬貨は、銅や、アルミニウムなどの金属としての価値になるという。
そして、移動手段を手に入れた。
それが、防弾仕様のキャンピングカーだ。
「すごいな、こんな車、どこで手に入れたんだ?」
愛菜「その方法は秘密。だけどね、こんなイカれた世の中に順応していくためには、何でもやらなきゃね。」
ちなみに彼女は未成年。満16歳。しかし、この車を彼女が運転するという。
日本では、満18歳にならないと運転免許を取得できないが、日本はまさに今、内戦状態。運転免許の法律もクソも無い、イカれた状況だ。
だから、未成年が車を運転しても、罰則も何も無いという。
愛菜「それじゃ、行くよ。」
愛菜の運転する、防弾仕様のキャンピングカーに乗せられ、全国を旅することに。
この世界では、ニュースキャスターも必要ない。見たくないニュースは見なくていいし、いや、それ以前に、高層マンションにミサイルが着弾して破壊される、衝撃的な映像を目にしてしまっているから。
ある家に、強盗が押し入った。ところが、
その強盗が、逆にその家の住民に、銃で撃ち殺された。
戦争だから、仕方がない。これは戦争なのだ。
自分の身は自分で守らないとな。
ここまで見てきて、諸外国が何の反応も見せないのは、なぜなのだろうと思った。
例えば、アメリカや中国やロシアのような大国が、内戦状態となり、国が分裂したなら、それこそ世界中が注目するような大事件になるだろう。
しかし、日本にはもともと資源も何もない。日本国内で何が起ころうが、関係のない国には関係ない。
所詮、日本なんて世界から見れば、その程度の国だということだ。
全ては、政治家と犯罪者が悪いんだ。
内戦とは、大抵の国では政府軍と反政府勢力との戦い。
では、日本国内の反政府勢力は?
日本国内にも、『極右』も『極左』もいると思っている。
とにかく、この状況の中で、とにかく自分たちは生き延びることを考える。
いずれにしても、今度こそ、本土決戦とかになったら、今度こそ、全滅だろうな。
あれこれ考えながら進んでいるうちに、
えっ?もう目的地に到着かと思った。
さて、我々の向かった先は、なんと意外なことに、秋葉原だった。
そして、そこにはミリタリーショップなる店があった。
秋葉原は、内戦前と変わらず、無傷のままだった。ただし、秋葉原を拠点に活躍していた、某アイドルグループの元メンバーが地元選出の国会議員となり、新たにミリタリーショップを開いたという。
その名は、イブスキ・リーノ。無類のミリタリーオタクだという。
さすがに腹が減ったので、どこでもいいから飲食店を探すことにした。
秋葉原にはたしか、メイドカフェとかあって、オムライスとか、ナポリタンとかが定番メニューだったと、記憶している。
ところが、そこはもうメイドカフェではなく、そこがミリタリーショップになっていた。
「いらっしゃい。」
中曽根愛菜は、実は無類のミリタリーオタクであった。
とにかく、戦闘に役立つ武器や、戦車や、弾薬を買いあさることが目的。
しかし、俺は無性に腹が減っていたので、とりあえず、何か食べるものは無いかを聞いてみた。
すると、出てきたのは、食パンとバターとハム。
こんな状況だから、商品は商品棚には陳列しておけないから、その都度注文して、注文した分だけを持ってくるのだという。
「いただきまーす!」
まあ、とりあえず腹ごしらえはしておかないとな。文字通り、腹が減っては戦はできないのだから。
戦車の名称も、武器の種類も、弾薬の種類も、何も知らなかった。
全部、中曽根愛菜、彼女に教えてもらっていた。それにしても彼女は、いくらミリタリーオタクとはいえ、どこでどういう人生を歩んできて、そんな知識を得たのだろう。
「ごちそうさまー!」
「ああ、お代はいらないよ。食料も配給だからね。」
さて、これからどうしようかと考え込む。