渡り鳥生活
それぞれの国が自分たちの主張を繰り返す中で、渡り鳥生活といって、特定の国や地域に定住しないで、各地を渡り歩く、そんな人々が現れた。私もその中の一人だ。
どこの国にも属さない、どこの組織にも属さないで、まさに自らが覇者となることも可能となるご時世。
この際だから、日本中を旅してみようと思った。そこで、私と同じように渡り鳥生活をしている、ある女性と出会った。
中曽根愛菜
「初めまして。私の名前は中曽根愛菜。
聞いて。これからは、国家の力も、まもなく無力化すると思うの。
そうなると、戦争は国家によるものではなく、個人による、欲望のままに殺し合うという段階に入ると思うの。」
そうなれば、頼れるのは自分の戦闘能力、ステータス、スキルだけ。
そうなると、自分の戦闘能力、ステータス、スキル、それを上昇させるためには、チート能力を身につける必要があるというのだ。
戦争が激化すれば、いずれ貨幣制度も崩壊し、今あるお金は使えなくなる。
紙幣は紙くず同然になり、一方で硬貨は、銅や、アルミニウムなどの金属としての価値になるという。
そして、移動手段を手に入れた。
それが、防弾仕様のキャンピングカーだ。
「すごいな、こんな車、どこで手に入れたんだ?」
愛菜「その方法は秘密。だけどね、こんなイカれた世の中に順応していくためには、何でもやらなきゃね。」
ちなみに彼女は未成年。満16歳。しかし、この車を彼女が運転するという。
日本では、満18歳にならないと運転免許を取得できないが、日本はまさに今、内戦状態。運転免許の法律もクソも無い、イカれた状況だ。
だから、未成年が車を運転しても、罰則も何も無いという。
愛菜「それじゃ、行くよ。」
愛菜の運転する、防弾仕様のキャンピングカーに乗せられ、全国を旅することに。
この世界では、ニュースキャスターも必要ない。見たくないニュースは見なくていいし、いや、それ以前に、高層マンションにミサイルが着弾して破壊される、衝撃的な映像を目にしてしまっているから。
ある家に、強盗が押し入った。ところが、
その強盗が、逆にその家の住民に、銃で撃ち殺された。
戦争だから、仕方がない。これは戦争なのだ。
自分の身は自分で守らないとな。






