第2話 みなほは痩せられない
部活が終わり、帰宅するみなおほですが
部活終わりはお腹が空くので、途中でハンバーガーを食べていきます。
そして、帰宅後は夕飯もちゃんと食べるが、翌日学校で痩せないと悩みます。
日が傾いて来て薄暗くなると、陸上部の顧問の先生が「ここまで」と言ってわたしと鹿野谷さんを止める。
鹿野谷さんはまだまだ走りたいって顔をしてるけど、暗くなると危険なので渋々走るのやめた。
「お疲れ、鹿野谷さん」
「うん……」
明らかに物足りない顔をしてるけど、学園外の公道で暗くなると危険なので仕方ないと言った感じ。
わたしは自転車からおり、引きながら鹿野谷さんと歩いて学園に戻る。
無口な鹿野谷さんだから特に話す事はないけど、とにかく走りたいという鹿野谷さんを見てると
「鹿野谷さんって走るのが好きだね」
と何度も言ってしまう。
「また同じ事聞くの?」
「何度も何度も同じ事を聞いちゃうけど、まだまだ走りたいって顔をするから、ついね」
「また走れるようになったから、ただそれだけ。それに、止まりたくない」
鹿野谷さんはそう言って、また走りだして1人で学園に戻る。
スマホのデーターだと3時間で25㎞走ったけど……これでも物足りないかな。
高校の陸上部の長距離選手がどれぐらい走るかよく判らないけど、練習時間的にはこんなものかな。
自転車だと1日で100㎞とか走るらしいけど、うちの部活はそこまでじゃないけどね。
でも、自転車で25㎞はちょっと短いような気はするけど、楽しむための部活だからいいかな。
わたしは部室に戻って自転車を置き、着替えを済ませて家に帰る。
他の部員はもう帰ったから、部室の鍵はわたしが締めて鍵を職員室に返して学園を出る。
家までは自転車で15分だけど……部活の後はお腹が空く。
ただ、ダイエット目的もあるから、途中で食べたはダメと思いつつ……気づいたら
帰り道にあるハンバーガー店に入っていた。
「1個だけからいいよね……でも、ポテトは必須」
そう言って、ハンバーガーのセットと追加のポテトを頼んでしまう。
「どうせ運動するからいいよね、通学も自転車で走るし」
そう言って、ニコニコしながら全部を食べて家に帰るけど、家の夕食ももちろんちゃんと全部食べるよ。
******
「うう、部活と通学で走ってるのに体重が減らない……」
今日も教室で机にうなだれるけど、体重は減ってはいないが増えてもいない。
考えてみたら、部活の後の間食と家での夕飯を食べて体重を維持してるならいい方か。
ただ、わたしの身長158㎝からしたら、57㎏は太い方だよね……。
教室にはわたしよりも身長が高いのに、スリムな子が多い。
鹿野谷さんもわたしより身長が結構高いのに、身体は細いし。
走っている距離は一緒だけど、自転車と自分で走るのはやっぱり違うのかな。
わたしは教室では流石に椅子に座っている鹿野谷さんの横顔を見るけど
鹿野谷さんもわたしの視線に気づいたらしく、こっちを見たので手を振るけど……反応はない。
ただ、これは何時もの事なんだけどね。
「鹿野谷さんは細くていいな……」
と呟くけど、鹿野谷さんは厚めのタイツを穿いていても足が細いのははっきりとわかる。
どうしたら細くなるのかは聞きたいけど……。
でも、鹿野谷さんの事だから「走ってるから」で終わりそうだから、聞くのはやめておうかな。
わたしがそう思っていると、鹿野谷さんが席を立つと小走りでこちらに向かってきた。
わたしは意外だったから少し戸惑ったけど、鹿野谷さんは教室内でもやっぱり走る。
「下月さん……」
鹿野谷さんわたしを呼ぶけど......その後は無言。
しばらく沈黙が流れたけど、鹿野屋さんは
「私を見てたけど、何か気になるの?」
と聞いてきたから
「えーと、鹿野谷さんって背が高いけど、わたしより細くていいなって思ってた」
とわたしははっきりと言うと鹿野谷さんは
「走るのが好きだから」
と思っていたとおりの答えだった
「そうだね。でも、わたしも一緒に走ってるけど痩せなくてね」
「走るのと自転車だと負荷が違うはず。自転車はもっと走らないと痩せない」
「部活の他に、通学で往復30分自転車で走ってるけどね」
「休みの日も走ってる?」
「えーと、買い物に行ったりするけど、運動って言えるほどじゃないかな」
「休みの日だから、走らないといけない。後、食べ過ぎても痩せない」
鹿野谷さんに一番痛い所を突かれたから、わたしは苦笑いしするだけだった。
「私もお汁粉が好きだから、つい食べる。でも、食べたらその分走ればいい」
「理屈はわかるし、運動は好きだけどどうしても部活で満足しちゃうんだよね」
「なら、私と走らないで下月さんが自転車で長い距離を1人で走ればいい。私は1人でも走れるから」
確かに、鹿野谷さんに付き合わないで、わたしのペースでもっと走ればいいんだけど
それだと多分、ある程度でやめちゃうかも。
わたしは運動自体は好きだけど、1人だと長く続かないんだよね。
なので、目標というか一緒に付き合ってくれる人が居た方がいい。
わたしが陸上部と一緒に走り出したのはこれが理由で、両部活の顧問の先生にも許可してもらっている。
「わたし1人だと、コース5.6周して終わっちゃうかな。鹿野谷さんなら、顧問の先生がやめって言うまで走るからね」
「本当はもっと走っていたい.......でも......事故だけはもう嫌だから......」
鹿野谷さんは暗い顔をするけど......事故の噂は本当だったんだ。
「そうなんだ......」
「昔の話だから……」
「そ、そうだよね、今はちゃんと走れるしね。足も細いし」
「……」
鹿野谷さんが黙るけど......なんかいけない事を言ったかな。
「もしかして、わたし言ったらいけない事言った?」
「……足の事は言わないでほしい」
「ご、ごめん。わたしの太い足と比べら細くいから、つい」
「......別にいい。授業が始まるから戻る」
鹿野谷さんそう言って席に戻ったけど……地雷を踏んでしまったか。
今日も部活があるのに、これじゃ気まずいかなと思いつつ授業を受けた。
放課後、教室の事があったから部活に行くのはやや気が重いけど、鹿野谷さんは
HRが終わるなり今日も走って部活へと向かった。
鹿野谷さんはとは教室ではほとんど話しないから、鹿野谷さんと話せたのは嬉しいけど
地雷を踏んだようで、せっかく鹿野谷さんから話かけてくれたのに失敗したな。
気は重いけど、今日も自転車に跨って陸上部が集まる所へ向かった。
今日も部活が始まるが、鹿野谷さんわたしの横にやって来てきて
「今日も同じペースでお願い」
と言って、走り出したけど教室でのことは気にしてないみたい。
「わかった、1㎞7分ね」
わたしはスマホのアプリを起動させるけど鹿野谷さんは
「違う、1㎞6分30秒」
といつもより速いペースを言う。
「それって、何時もより速いんじゃ」
「下月さんのため。それに、女性ランナーならこれぐらいで走る」
「でも、いつもより速いペースで走ったら持たないんじゃないのかな」
「わからない。無理だったら、下月さんだけで走ればいい」
確かに、わたしだけで走ってもいいけど、わたし1人じゃ続かないからやはり一緒がいい。
「ペースが落ちたら、わたしは鹿野谷さんに合わせるから」
「別に付き合わなくてもいい。わたしはわたしで走れる」
「だとしても……」
教室での事を怒っては......いないか、鹿野谷さんから話しかけて来たし。
でも、なんか今日の鹿野谷さんはいつも違うから、気に障ったのかな。
「教室の事が気に障ったの?」
「何かあった?」
「ほら、足の事を言ったら……」
「あれは気にしてない。下月さんが痩せたいというから、もっと負荷を上げるだけ。
それに、他の子はもう走ってるから、私も走りたい」
鹿野谷さんがそう言うので、周りを見ると他の子たちは既に走り始めていてわたしたちだけになっていた。
「あ、ごめん。それじゃ、まずは行こうね」
「うん、お願い」
わたしも慌てて走り出し、1㎞6分30秒のペースで走り出し.鹿野谷さんの様を見るとは
鹿野谷さんはとても嬉しそうな表情で、わたしの後をついて来た居たのだった。
お読みいただきありがとうございます。
みなほはダイエットも兼ねて自転車に乗っていますが、流石にこれだけ食べると痩せませんよね。
あと、みなほはハンバーガー好きで野菜は嫌いです。
設定ではみなほは157㎝で鹿野谷さんは169㎝なので、みなほは太めですよね。
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