第12話 名前で呼ぼう
みなほは3往復目、鹿野谷さんは2往復目を一緒に走ります。
水分補給をしている時、みなほは友達なら名前で呼ぼうと提案します。
わたしと鹿野谷さんはお昼の休憩をすると再び走る。
お昼の一番暑い時間帯でもあるけど、鹿野谷さんはこれで最後というのででがんばる。
わたしは3往復目合計66㎞となるけど、自転車だとこれぐらいはしってもいいかな。
鹿野谷さんは往復で22㎞とハーフマラソンよりちょっと長いぐらい。
ただ、鹿野谷さんは学園が休みで部活がない時は、いつも1人でここを走っていると言ってたのでこれぐらいは慣れた物かな。
わたしは今回が初めてだけど、部活でも距離は走ってるから筋肉痛は大丈夫と思いたい。
「下月さん、何時ものペースでお願い」
「わかった、1㎞7分だね」
「うん」
わたしと鹿野谷さんは何時ものペースで走る。
サイクルコンピューターのデーターを確認しながらだけど、何時ものペースは身体が覚えているのか
何も見なくてもその速さにできるぐらいになっている。
鹿野谷さんもそのペースに合わせ、何時もの様に後をついてくる。
慣れたペースなので3往復目であるけど、息もあまり切れずに快調に進んでいく。
鹿野谷さんもこのペースは走りやすいのか、一定のリズムを刻みながら走っているが
わたしもそのリズムに乗っるけど、なんか心地よい。
うまく説明できないけど、お互いが刻むリズムが上手くあわさりこれが心地よくなり
一定のペースで走る事が出来、長い距離を走ってもあまり疲れないといった感じかな。
息が合うと言った方がいいのかもしれないけど、とにかくわたしと鹿野谷さんは
何も言わなくても、ぴったりのペースで一定の距離を保って走っている。
半分ぐらい進んだけど、1㎞7分のペースを保っている。
ただ、3往復目のわたしがちょっと疲れて来たのと、気温が高いのでここで一度水分補給をする事にする。
「鹿野谷さん、1度水分補給をするよ」
わたし私が声をかけると
「うん、わかった」
と言って、鹿野谷さんもペースを落として足を止めた。
「秋だというのにまだまだ暑いね」
「9月はまだ夏みたいものだけど、もうすぐ10月だと思うとまだ暑い」
「そうだよね。鹿野谷さんも1人で走る時は気を付けね」
「ちゃんと水分は摂ってる。でも、下月さんに心配をかけたくないから、気をつける」
「心配するのはわたしだけじゃないよ」
「だとしても、友達を心配させたくない」
鹿野谷さんはこう言うけど、友達と言われるとちょっと照れる。
でも、わたしと鹿野谷さんっていまいち友達って感じがしないけど……そうか、苗字で読んでるからか。
友達なら、名前で呼ぶ方がいいよね。
なのでわたしは
「友達なら、苗字で呼ばないで名前で呼び合わない?」
というと、鹿野谷さんは?を頭に浮かべてる顔をしてる。
「友達は名前で呼ぶものなの?」
「仲良くなったら、名前で呼ぶかな」
「それなら……桜琳と呼んで欲しい」
「わかったよ、桜琳」
「うん……みなほ......」
鹿野谷さんは頬を染めてわたしの名前を呼ぶけど、その手れた顔が普段の桜琳と違ってかわいらしい。
あと、わたしも桜琳からみなほって呼ばれるとちょっと恥ずかしいかな。
でも、何となくあったわたしと桜琳の見えない壁がなくなった気がする。
「それじゃ、走ろうね桜琳」
「うん、みなほ......」
わたしと桜琳は再び走り出したけど……そういえば、お互いいきなり呼び捨てだった。
でも、桜琳さんって言うと、かなり堅苦しいし、桜琳ちゃんもなんか違う。
なんていうか、やはり桜琳と呼び捨ての方が友達って感じかな。
あと、桜琳もわたしの事をちゃん付けで呼ぶタイプじゃないし、みなほさんって言うのも
やはり堅苦しいから、呼び捨て出もいいかなって思うし……なんか、みなほって桜琳に呼ばれた嬉しくも感じたから……。
どうあれ、わたしと桜琳は名前で呼ぶようになり、これで友達に慣れたかな。
そして、この後は何故か足がが軽くなり、のこりの1往復も楽に走るきる事が出来たのだった。
お読みいただきありがとうございます。
お互いを名前呼びにしましたが、これで2人の距離はかなり縮まりました。
そして2人は走り終わりましたが、次は帰宅です。
ツイッター
@shiizu17