第10話 みなほは鹿野谷さんを意識する
鹿野谷さんの反応に戸惑うみなほであるが、鹿野谷さんの反応を見て色々と意識してしまいます。
鹿野谷さんはわたしのボトルから水分補給をすると、そのまま走り去った。
わたしも再び走りだしたけど……なんか変に意識してる。
考えてみたら、友達同士で回し飲みをするから、鹿野谷さんがわたしのボトルに口を付ける事を意識する方が変かな。
でも、鹿野谷さんのあの反応を見たら……なんか意識しちゃうけど、今はとにかく走ろう。
わたしは自転車を進めるが、鹿野谷さんはわたしの事をどう思っているのかな。
友達と思っているけど……時々見せる表情は友達以上に感情があるように感じるけど気のせいかな。
鹿野谷さんは1人でいる事が多く、部活でも他の部員ともほとんど話さない。
無口で口数が少ないのもあるけど、それを差し引いても先生とわたし以外とちゃんと話しているのは見た事ない。
いわばぼっちけど......鹿野谷さんは近づきにくい所もあるのも確か。
わたしも初めて鹿野谷さんと話したのは部活の時で、同じクラスとなのはもちろんわかってたけど
話しかけるなオーラがでて、比較的誰とでも話しかけるわたしでもクラスでは話しかけられなかった。
でも、部活で少しづつ話してたら、教室でも挨拶をするようになったし、今は鹿野谷さんからも
話しかけてくるようになり一番の話相手なのは確か。
それに、クラスの子にわたしと鹿野谷さんは友達以上の関係と思われてけど……そんな風に見えるのかな。
ただ単に鹿野谷さんと話してるだけで、わたし自身はそんな風に思ってない。
わたしは鹿野谷さんに友達以上と感じてはいないけど、鹿野谷さんが時々見せる反応はそうでないかも。
ただ、友達付き合いをあまりしてないから、舞い上がってると言ったら失礼かもしれないけど
要は人づきあいに慣れていない可能性が高いかもしれない。
でも......鹿野谷さんがわたしの事を……。
わたしは走りながら鹿野谷さんの事を考えけど、これだけ鹿野谷さんを意識するって事はわたしがそう思ってるかも!?
いやいや、そんな事はないと思うけど……否定できない自分もいる。
ただ、考えてもよくわからないから、わたしは自転車の速度を上げて折り返し地点へと向かった。
折り返し地点に到着したけど、タイムは鹿野谷さんと話し分を差し引いて遅くなっている。
これは疲労と言うよりも、鹿野谷さんの事を考えすぎたのが原因。
「なんか変な事考えたけど……そんな訳ないよね」
わたしは鹿野谷さんが違う意味でわたしの事を好きではないかと悩んでいる。
いや、悩んでいるというより、意識してると言った方が言いかな。
鹿野谷さんは恋愛に興味がないタイプだと、わたしが勝手に思ってたから意外だけど
わたしも恋愛に関してはあまり人の事はいえないけど。
わたしと鹿野谷さんが恋愛的な意味でつきあうのはなんか想像できないけど、もしつきあっても今と変わらない気がする。
それよりも、鹿野谷さんに恋愛感情があるのかわからない。
でも、わたしのボトルを口に付けた時の反応は……いや、まさかね。
わたしはやっぱり鹿野谷さんの事を考えながら、水分補給のためボトルに口を付けたらさっきの事を思い出して
ちょっと恥ずかしくなったけど気にしない事にする。
「恋愛よりも、今は痩せる事だよね」
わたしはそうつぶやくけど、自転車に乗り邪念を払うように速度を上げたが、すぐに息が上がったので邪念を払う事は出来なかった。
「走ると邪念が消えるって本当かな……」
息を切らせながらつぶやくけど、鹿野谷さんはスタート地点に着いた頃かな。
この暑さだと鹿野谷さんも少し休憩してから、2往復目を走ると思うけどその間どうしよう。
多分、往復すると2時間以上はかかるはずだから、その間待つ事になる。
流石に2時間も待つのは大変だけど、先に帰る訳にもいかないよね。
そうなると……やっぱり一緒に走るのがいいかな。
それに……1人で走るのは正直寂しいから、わたしも鹿野谷さんと一緒に走りたい。
わたしはそう思うと急に足が軽くなり、自転車の速度が上がったのだった。
お読みいただきありがとうございます。
みなほは鹿野谷さんの反応を見て、鹿野谷さんは自分に対して恋愛感情があるのかもと考えます。
ただ、鹿野谷さんは恋愛に興味がないタイプに思えるうえ、みなほ自身も恋愛に関しては奥手です。
とはいえ、鹿野谷さんの反応を見ると、恋愛感情があるかもと意識してしまいます。
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@shiizu17