episode 02
こんにちは。森野うさぎです。
本日はついに登場します!魔王が!
翌朝、早くに目覚めた海は、少しだけ森へ入ってみることにしました。
何か山菜が採れないかなと考えて。
森へ入る道を進み、途中で道を逸れて、草木の生い茂る中へ入り、歩いていくと、木の根もとに何か布が置いてあるのが見えました。
見ると、質の良さそうな真っ黒なマントやシャツ、ズボンや下着?!等の中に、幼い赤ん坊がスヤスヤと眠っておりました。
「ちょ!ちょ!ちょっと待ったぁ!何これ?!何でこんな所に赤ちゃんが居るの?!
っていうか捨て子なの?!
お~い!誰か居ませんか?!誰か~!!!」
叫んでも、物音一つ聞こえてきませんでした。
「連れ帰るしか無いか~…。」
海は、そこにあった洋服も一緒に赤ん坊を抱き上げ、家へ戻りました。
…使用済みっぽい下着と靴下は、そのままその場に置いてきました。
一応はうら若き乙女なので、そんな変態っぽいものを持ち帰れない。
あ、靴は頂いてきました。
「ん~困ったなぁ~赤ちゃんの着る物なんて無いよ~。
それにオムツもどうしよう???」
散々悩んで、取り敢えずはオムツも服も、買ったばかりの手拭いのような布で誤魔化すことにしました。
服は赤ん坊の身元を調べる手がかりになるかもしれないので、洗ってそのまま保管することにしました。
赤ん坊を何とかしないと、何も出来ないので、先ずは手拭いを器用に巻き付け、服のようにしました。
更に手拭いの一枚を折り畳み、オムツのように当て、別の手拭いをパンツのように巻き付けました。
「お店の開く時間になったら、布とハサミと針と糸を買いに行かなくては…。
まだ全然稼げないのに、もうお金が出て行っちゃうよ~。」
ブツブツ言っていると、赤ん坊が目を覚ましました。
黒曜石のような真っ黒な瞳でこちらを見つめていたと思ったら、何かお喋りを始めました。
「あ~!あうあう~!う?!」
何言ってるのか全然分からないと思いながら見ていたら、赤ん坊は泣き始めました。
「あ~!あうあう~!う?!」
《おい!そこの女!ここはどこだ!あ?!何だ?!これは?!何で俺は赤ん坊になっているんだ?!》
「うわぁ~!!!あ~!!!うわぁ~う~!あ~!!!」
《何で涙が出てくるんだー泣くな!俺!男だろう!ダメだ~涙が止まらない~!》
「どうしたの?!ママが居なくて寂しいの?ごめんね!ママはどこかへお出掛けしちゃったみたいなの~」
「あ~!!!あうあう!うわぁ~!!!」
《何言ってんだ!ママなんていねぇぞ!》
「ごめんね~お腹空いているのかな?」
「う???ま~!」
《そう言えば腹が減ったなぁ~》
「こんな小さくては牛とかのミルクは危険だし…ん~どうしよう?」
「う???あうあう~」
《ん?!俺には歯がない?!》
「あうあう~あ~!あ~うあうあう~!」
《仕方ない、おい!お前の乳を飲ませろ!》
赤ん坊は海の胸を弄り始めた。
「え?!私はおっぱい、出ないよ?!ママじゃないんだから?
こらこら!何をしているの?!君は?」
「あうあう!あ~!」
《モタモタするな!さっさと胸を出せ!》
ついに赤ん坊は、海の服を引っ張り、胸を出してしまった。
「あ~!あうあう!あ~む!」
《おう!良い匂いだ!あむっ!》
「…。あ~う?!あうあう!」
《…。あれ?!何で出ないんだ!》
「ん~そんなに強く吸われると痛いよ…そりゃあ出るわけ無いよ…私、子供、産んでないもん…。」
「あうあう!あ~!!む~!あいっ!」
《何だと!だったらこれでどうだ!》
赤ん坊が胸に手を当てて、何か言うと、何かが光り、胸に小さな模様が浮かび上がった。
そして何と…出るようになったらしい…。
「え?!っていうか何これ?!君、今、何をやったの?!」
海が話すのを無視して、左の胸にむしゃぶりついていたと思ったら、途中で器用に右の胸を出し、そちらも美味しそうにむしゃぶりついてきた。
「もう成るようにしか成らないな~」
そんなことを呟きながら見ていると、赤ん坊は満腹になった様で、目がとろんとし始めたので、慌てて抱え直して、背中をトントンと叩いて、ゲップをさせた。
赤ん坊は、左手で海の胸を掴んだまま、眠ってしまった。
「うん、完全にセクハラだよ、君は。全く出産経験も無ければ、そもそも色々未経験の私に何をさせているのさ?君は?」
それでも海は、元の世界で小さな甥が居たため、最低限だけは知識があるのでした。
眠った赤ん坊をベッドへ寝かせ、猛ダッシュで街へ買い物へ行くことにした。
前の日に商人さんに連れて行ってもらった手芸屋さんを目指し、綿の中で一番安い反物を聞き、値段を聞いた。
「そうだねぇ~このくすんだ黒だったら、この残り10メートル、銀貨一枚でも良いよ。
売れ残っちゃって、しかも焼けてきてしまっているんだ。黒なんてあんまり売れないからね。」
「ではそれ、買います!後は黒い糸と縫い針と、ハサミが欲しいんですが。」
「じゃあ布と合わせて全部で銀貨一枚と銅貨五枚でどうさね?」
「それでお願いします!」
布や道具を買い込み、猛ダッシュで帰ると、赤ん坊は目を覚まして泣いていた。
「あ~ごめんね~あなたの服とか作れるように、買い物へ行っていたの~!」
「あ~!!!あうあう!あ~う!」
《俺様を置いていくとか許されないぞ!下僕の分際で!》
「はいはい!大丈夫よ~私は捨てたりしないからねえ~!」
それから赤ん坊は、寝てるか海の胸にむしゃぶりついているかを繰り返した。
海は赤ん坊にカイと名を付けた。
「私が海だから、あなたは海ね!」
「あう?…。」
《何だと?…まあ良いか…。》
海は毎日、裏庭を耕し、夕方になると小屋で、カイのオムツに服に、縫いまくった。
服はサイズ調整出来るように、前の世界の甚平を参考にした。
「和服って子供用のも肩上げとかで、かなり調整できるから、便利なのよね。」
服が出来上がると、黒髪を目立たなくするために帽子も作り、被せて、街へも連れて行った。
甚平から着想を得た服は、街で評判になり、売って欲しいという声もあり、オーダーで販売することになった。
手芸屋さんが、オーダーを受けてくれたので、緊急以外は、街へ行った時にオーダーを受け取ってこれば良かったので助かった。
手芸屋さんは生地が売れるし、丁度良い関係だ。
三ヶ月が過ぎる頃、異変に気が付いた。
「う~!マンマ~!」
《海!腹が減ったぞ~!》
「子供って…こんなに成長、早かったっけ???」
前の世界での、可愛い甥っ子を思い出しながら、首をかしげた。
「ま~う~あうあう!あ~!」
《俺は特別だからな!当然だ!》
「あ~あうあう!」
《早く胸を吸わせろ!》
「何か時々態度が偉そうなんだよね…しかも胸、触りすぎ~将来が怖いわ~」
それにしても成長が早かった。
何と!三ヶ月で歩き始めたのだ。
「おかしいなぁ~うちの甥っ子、そんなに早かった記憶、ないんだけどなぁ~。」
おかしいということには気が付きながらも、そもそも見知らぬ世界へ飛ばされたということもあり、あまり深く考えるのは止め、しかも裏庭の畑も落ち着き、生活のリズムも出来てきたので、料理の研究も始めることにしたのだが…。
更に三ヶ月後、海は更に悩み始めました。
「やっぱりおかしい…。
もう歯がかなり生え揃っている上に、かなりお喋り出来るようになっている…。」
「カイくん…歯が生えているんだから、おっぱいは止めて、離乳食を食べようよ…ね?」
「や~!まんま~!これい!や!~!」
《やだ!おっぱいを飲ませろ~!離乳食なんて食べないぞ~!》
カイは、頑として海のお乳を飲みたがって、離乳食は食べなかった。
仕方が無いのでお乳をあげ続けていたのだが。
「ん~!こら!カイ!お乳を飲みながら、反対のおっぱいで遊ぶのは止めなさい!」
カイはお乳を飲みながら、空いている方の胸を、手で触りまくって遊ぶのだ。
しかも飲んでいる最中も、歯や舌で弄びながら吸い付いてくるので、海は声を上げてしまいそうになるわけで、赤ん坊相手に感じるとか、恥ずかしすぎる!と焦っていたりもするわけですが。
更に数ヶ月が過ぎようとする頃、海はもう完全にこの子は普通の子ではないと認識していました。
なので街へ行くとき等、カイを連れていかないように気を付けておりました。
人目に触れると、そうでは無くても忌諱される黒髪の海とカイです、それこそ住んでいられなくなりますから。
「カイ…君は誰なの?」
ある日、カイを抱きかかえ、目をカイの目に合わせて聞いてみました。
この頃のカイは、大きさも普通の生後8ヶ月、9ヶ月の子供では無く、3歳児に近い大きさでした。
そう…カイの成長は、普通の子供の4倍位の早さだったのです。
「…ここまでか…。」
カイは、幼児らしからぬ物言いで話し始めました。
「良いか?!良く聞け!俺は魔王カイゼルである!」
「…え?!…何言ってるの?!あなた、どう見ても人間でしょう?!ちょっと成長の感覚が変だけど、見た目はどう見ても人間じゃない!」
「お前…魔王を何だと思っているんだ?!」
「いや…魔王と言ったら山羊みたいな角が生えていて、顔も山羊っぽくて、腰から下は、山羊みたいな…二足歩行で身体の上半身だけ人間みたいな山羊?」
「お前…我らに喧嘩を売っているのか?!」
「っていうか、何で生まれてすぐに、人間に拾われるような場所に捨てられているのよ…。」
「あれは捨てられたんじゃ無い!」
何でも、他所の地域の魔王と戦い、魔力を限界まで使ってしまい、戦いには勝利して、自分の領地…って魔王としてのであって、公式に世間に認められているわけでは無いけど…まで何とか帰ってきたものの、魔力が完全に枯渇してしまい、赤ん坊に戻ってしまって身動き出来ずに居たところを海に拾われたらしい。
そしてここから海にとっても衝撃的な事を聞かされた。
いや、冷静に考えると、拾った赤ん坊が、実は魔王だったことよりも衝撃的な事なんて無いのだが、海にとっては、その先の話の方が衝撃的だった。
「お前…この世界の人間では無いだろう?お前は非常に強い魔力を持っている。
この世界の人間では有り得ない。
そして俺は、魔力を得れば得るほど、元の姿に近付けるわけだ。
手っ取り早く、お前から魔力を得ると、元の姿に近付ける、つまりは成長出来るのだ。」
「え~だったらさっさと魔力を得て、自分の家へお帰り下さい。」
「そんなに一度にそれだけの魔力を得ることは出来ないようだ。」
「それでどうすれば魔力を渡せるんですか?」
「体液だな!それもお前が性的に興奮していると、魔力が更に強くなることが分かった。」
「は?!何を言ってるの?!このクソ餓鬼は!」
「だからお前の体液だ。それもお前が感じている時はなお良い。
だから途中からお前の乳を飲む時に、お前が気持ち良くなるように、刺激してやっていただろう?
そうすると魔力が上がって実に美味くなるのだ!」
「な、何が刺激してやっていたよ!何が美味くなるのだよ!マジでふざけんな!
あ~もう出て行きなさい!もう歩けるんだから、帰れるでしょ!自分の家に帰りなさいよ!」
「…まだ無理だな…俺の邸はそこの森の奥深くで、しかも結界があるから、今の俺様の魔力では、まだ入れない。
早く帰って欲しいなら、頑張って俺に美味い体液を提供することだな。」
そう言ってニヤリと笑った…見た目は幼児だが…。
その日からカイの態度は変わった。
もう海に対して隠す必要も無くなったからか、更に我が儘が炸裂し始めた。
「海~!腹減った!こっちへ来て胸を出せ!」
「はぁ?!何言ってるのよ!あなたは今日から私と同じものを食べるのよ!もうおっぱいは無しよ!無し!」
「それじゃあ俺が成長出来ないだろうが!さっさと胸を出せ!」
そう言って海の膝によじ登り、服を引っ張り、勝手に胸を晒した。
「いただきま~す!」
そう言って勝手に口に含み、更に反対の胸に手を這わせてきた。
「お前…舌で弄るより、指や歯の方が感じているだろ?」
上目遣いにニヤリと笑って言われた。
「な!な!んあっ!あ~っ!」
「遠慮せずに感じろ!その方が魔力が強くなって美味くなる!」
もう良いように遊ばれ、何も言い返せない海でした。