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雨上がりに僕らは駆けていく Part2  作者: 平木明日香
というわけで
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第92話


 スマホから電卓を開けというから、仕方なく開いた。


 そしたらドヤ顔で、計算してあげると言ってきた。



 「計算」と言われましても…



 仕方なく適当な数字を並べると、即座に女は答えを言ってきた。


 びっくりしたのは、少数点の最後の数字まで言い当ててたことだ。


 スマホの画面上に表示されてる何十桁もある最後の数字まで、きっちり。



 「…まじか」


 「へっへーん」



 鼻息荒…


 ってかすげぇ腹立つ顔してる


 が、すごい…


 え、がちですごくね?


 違う数字を言っても、全部当てて来るんだが



 「実際に計算しとるわけやないで?」


 「え、どゆこと?」


 「ズルしとんや」


 「ズル…?」



 女が言うには、この前みたいに時間を止めて、自分のスマホの電卓から調べているみたいだ。


 …うん、言ってることはわかるが、めちゃくちゃだ。


 “時間を止める”って、そもそもなんでできるんだ!?


 人生でこんなに突っ込みたい気持ちに駆られたことはない。


 果たしてこれを「突っ込む」と言っていいかどうかもわからないけど…



 「お前、…ほんまに人間か?」



 抑揚のない声色でありのままの気持ちをぶつけてしまったのは、それ以外に対処できる感情がなかったから。


 自分でもよくわからない。


 言いたいことはめちゃくちゃある。


 どんな言葉を使っていいかもわからないほど。


 でもそれを一から分解し、順序立てて組み立てられるほど、具体的な「言葉」に押し上げることができなかった。


 どう頑張っても“あり得ない”が先行してしまっていた。


 複雑な知恵の輪で、延々と苦しんでる時みたいに。

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