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雨上がりに僕らは駆けていく Part2  作者: 平木明日香
嘘だろ!?
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第81話


 「世界は崩壊したんや。遠い未来で」


 「………崩壊?」


 「うん。さっき言ったやろ。『ジャンアント・インパクト』。私たちの未来が失われた日や」


 「…未来が、失われた…?」


 「空から隕石が落ちてきたんや。青かったはずの雲の向こうで、巨大な重力が降ってきた。世界の形を変えるほどの」


 「待て待て!何言うとんねん!?」


 「どうせ信じんやろ。せやから見せたんや。ちょっとだけ、”世界の秘密“をな」


 「どういうことや…?」


 「わかるやろ。あんたの今目にしとるもんが、「異常」やってことくらい」


 「…そりゃ、まあ…」


 「「私」は、あんたとは違う世界で生まれたんや。元々な」


 「…待て」


 「世界が止まっとるように見えるのは、私がある「力」を持っとるからや。他の人間には無い、特異な“能力”を」


 「…待てって言っとるやろ!」




 思わず静止した。


 女の言ってることがわからない。


 今目にしてるものがわからない。


 だけどそれ以上に、こんな状況で会話ができるほど冷静にはなれない自分が、不自然には思えなかった。


 口も開きたくはなかった。


 ——動けなかったんだ。


 手も足も、瞼でさえ。



 目の当たりにしてるものが衝撃的すぎて、整理できるものが何もなかった。


 拾いたい言葉も、扱いたい言葉さえもなかった。


 そうしてすぐ目の前で、意味のわからないことが聞こえてくる。



 …世界が崩壊…?


 隕石…?



 どんな感情だって、きっと追いつけない。


 そんな予感が頭の中に犇めいていたのは、当然と言えば当然だった。


 これが「現実」なわけが、なかったからだ。

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