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雨上がりに僕らは駆けていく Part2  作者: 平木明日香
嘘だろ!?
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第79話


 車輪の周りを飛ぶ火花。


 小刻みに揺れていたはずのレール。


 女はその瀬戸際に立ち、全ての時間の向こうで憮然と立ち止まったままだった。


 あとほんの少しでぶつかりそうだった電車の機体の真正面に立ち、目の前まで接近しているその金属の表面をやさしく撫でるように、指先で触れた。


 0コンマ1の距離だった。


 電車までの距離は。


 そして、こっちを見た。



 「夢やないで?」



 …夢じゃない?


 どうしてそんな言葉を吐かれたのかも、ましてや、どうしてこんな状況に陥ってるのかも、わからなかった。



 理解…できない



 脳みその中で爆発的に増えていく、鉤括弧付きの疑問符。


 追いつけなかった。



 …いや、そもそも、なんだこれは



 …なにが、起こってる?



 なんで、…全部止まってるんだ?



 なんで、電車が動いてないんだ?



 世界で、女だけが動いていた。


 

 写真の中の人間が動くように、固まった景色の中を滑らかに動く。

 

 

 何から手をつけていいかわからないほど、頭の中が逼迫してた。



 だってあり得ないだろ、…こんなの



 呆然としていると、女が近づいてきた。



 ゆっくり遮断機の下を潜り、宙に止まったままの雨粒を気にすることもなく、歩いてきて。


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