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雨上がりに僕らは駆けていく Part2  作者: 平木明日香
甲子園
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第44話


 「今しかできんことがある。キーちゃんはそれを知ってた」


 「今しか…?」


 「甲子園は晴れ舞台や。最後の夏が終われば、もう2度と、やって来ん。せやから、その舞台に立ちたいと思ってた。立って、戦って、明日に行くために」



 甲子園。


 夏。


 どうしてその舞台に憧れてたのか、気になって考えたことがある。


 アイツは教えてくれなかったから。


 海沿いを走って、球場に向かっている時でさえ。



 「お前は聞いたんか?千冬から直接」


 「いいや」



 悪びれもなく、そう言う。


 どこか清々しくもあった。


 不思議と、声のトーンは明るくて。



 「でも、キーちゃんを見てたら、なんとなく。いつだって全力やったし」


 「まあ、な」



 わかるような気もする。


 いつもそうだった。


 雨が降ろうが、どれだけ、風が強かろうが。



 「せやから、あんたも頑張れ」


 「…」



 難しく考える必要はないのかもしれない。


 本当は、最初から分かりきってるんだ。


 あの日から、ずっと。


 いつかまた目が覚めて、一緒にキャッチボールをする。


 一緒に外の世界に飛び出して、同じ空の下で歩けたら——



 何度も夢を見てた。


 目が覚めることを、期待してた。


 だけど大事なことは、本当は…

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