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雨上がりに僕らは駆けていく Part2  作者: 平木明日香
まだ、寝てたいんだけど
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第36話


 女の言ってることがわからなかった。


 俺がアイツの夢を叶えても、なんの意味があるんだって。


 約束なんて所詮、気休めでしかない。


 アイツの目が覚めるなら、なんだってしようって思ってた。


 …でも、意味ないじゃないか。


 アイツはもう、笑ってくれないんだ。


 話しかけても、返事がない。


 俺にできることなんて何もない。


 …もし、今できることがあるとすれば、それは…



 バシィッ!



 「イッタ…」



 女はこの日いちばんのストレートを投げてきた。


 体を目いっぱい使って、腕を振り切り。



 「わからんのか?」


 「は?」


 「キーちゃんは今でも戦っとるんや。あんたがそこから逃げてどうする」



 …戦ってる?


 アイツが…?



 「でも、もう…」


 「「でも」やない!」



 釈然としなかった。


 何が「でもじゃない」んだよ…


 俺だってわかってるさ。


 目を背けちゃいけないことくらいは。



 「せやったらわかるやろ?」


 「何が?」


 「逃げても何も始まらん」


 「…いや、俺が言いたいのは」


 「あーもう、ウジウジせんと」



 まっすぐボールを放ってくる。


 時々、波打ち際まで歩いて、バシャバシャと水浴びをしながら。


 俺が何か言うと、すぐに反論してきた。


 “御託を並べるな”って、突き放すように。


 そんなつもりはない。


 俺は正論を言ってるだけで、別に理由を並べてるわけじゃないんだ。


 だけど同時に、女の言いたいこともわかる気もした。


 “理屈じゃない”って。


 本当は、もっと大事なことがあるんじゃないのか?って。

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