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雨上がりに僕らは駆けていく Part2  作者: 平木明日香
まだ、寝てたいんだけど
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第30話


 別に引っ掛からなかったわけじゃない。


 女が千冬の名前を出すたびに、思わず足を止めてしまう自分がいる。


 でも、ぶっちゃけそんなことはどうでもよかった。


 たとえ本当に友達だったとしても、俺になんの関係があるんだ?


 今日になってとくに、そう思えた。


 だってそうだろ?


 俺には関係ないことだ。


 友達だろうが、友達じゃなかろうが。




 背中をポンと叩かれながら、坂道を降った。


 須磨の街の景色と、青い空。


 瀬戸内海の海原が広がっている。


 日差しに照らされて、海面スレスレがギラギラだ。


 曲がり角にあるカーブミラーと、急勾配の道。


 もう9月だというのに、太陽が近い。


 通り過ぎる風のそばで、日に焼けた肌がひりついた。


 加速する自転車の前方から、波の音が近づき。



 「ゴーゴー!」



 やかましい女だな…


 昨日の豪速球といい、非常識な態度といい、色々と活発すぎる。


 後ろで両足を広げるな。


 自転車のバランスが狂うだろうが。




 「名前は?」


 「あれ、まだ言ってなかったっけ?」



 呆れた。


 言ってなかった?じゃねーんだよ。


 そういうのは出会ってすぐにするべきであり、半日以上が経ってからじゃない。


 『大坂楓』


 女はそう言った。


 もちろん、初めて知る名前だ。


 千冬から、小耳に挟んだこともない。

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