表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雨上がりに僕らは駆けていく Part2  作者: 平木明日香
好きっていうかなんていうか
190/394

第188話


 そこに「答え」なんてないのかもしれない。


 だんだんとわかったんだ。


 野球を続けていくうちに。


 千冬の球を、受けているうちに。



 俺たちには初めから「明日」なんてものはない。


 千冬はいつも言ってた。


 “急に速い球を投げられるようになるわけじゃない”って。


 最初はよくわからなかった。


 そんなの当たり前だろって、思う自分がいた。


 だけど、千冬的には当たり前じゃなかったんだと思う。


 結果を出すには「今日」しかない。


 そうやって、いつも練習に打ち込んでた。


 先のことなんて考えてなかった。


 いつだって、全力だった。


 手を抜く暇なんてなかった。


 千冬にとって「ストレート」っていうのは、きっとそういう意味だった。


 明日よりも今日、今日よりも“今”。


 ——そんな時間の先端に追いつけるように、思いっきり振りかぶって。



 千冬がいなくなって、いつも、千冬の姿が目に浮かんだ。


 もう二度と一緒に、グラウンドに立てない。


 そんな気配が頭の片隅に掠める度、明日が来ないって思った。


 千冬のストレートが思い浮かぶんだ。


 理屈とかじゃなく。


 だから俺は追いかけた。


 千冬が目指したストレートに追いつきたかった。


 それに理由はなかったんだ。


 もう二度と、会えないとわかっていても。




 …だから、「好き」とか、そういうんじゃない。


 もしかしたら、そう言えるのかもしれない。


 俺にとっての「明日」が、千冬の中にある。


 そんな気がする。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ