表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雨上がりに僕らは駆けていく Part2  作者: 平木明日香
夕暮れと影
157/394

第155話


 家の中も様変わりしていた。


 知っている景色もある。


 でも、よく見ると、全然違う。


 全部記憶になかった。


 そりゃそうだ。


 そもそも、なんで自分が、神戸高の制服を着てるのかもわからない。


 考えることが多すぎてパンクしそうになった。


 買い替えたはずの電子レンジが以前のに戻ってたり、見たこともないカーペットが床に敷かれてたりするのは、どう考えても“異常”なことだよな?


 何から整理すればいい?


 …一体何から、考えていけばいい?



 並行世界


 …並行世界




 そういえば、「神戸高校に通ってる俺がいた」と、女は言ってた。


 …そうだ!


 思い出した。


 俺と千冬はライバル関係で、一緒に甲子園にも行ったって…


 話がぶっ飛んでて信じてなかったが、あの「話」の通りだと、ここは…



 

 壁の向こう側に連れて行ってやると、女は言った。


 その「壁」がなんなのかを詳しくは聞いてないが、今のこの状況を説明できることがあるとしたら…



 アイツの言葉を思い出そうとした。


 半信半疑でちゃんと聞いてなかった自分を恨むが、後悔したって仕方がない。


 冷静に考えなきゃダメだ。


 …確か、世界にはいくつかのパターンがあるって言ってて、例えば、違う学校に通ってる自分がいたり、今とは別の環境の中にいる人たちがいたり…



 “自分が力を使えるのは、「可能性」の中に生まれたから“って言ってた。


 意味はよくわからないが、その可能性っていうのは恐らく、「並行世界」っていう言葉となにか関係があるんだとも思う。


 …とは言ってもなあ



 とりあえずアイツがいないと、この状況を理解できない。


 きっとアイツが、何かしたんだと思う。


 じゃないと説明がつかない。



 ひとまず彼女のことは「千冬」と呼ぶことにした。


 違和感マックスだが、他に呼び方もなかったし。


 彼女は彼女で、俺のことを「亮平」と呼ぶ。


 それが、当たり前であるかのように。


 俺は彼女に説明した。


 ”説明”って言っても色々ややこしかったが、…まあ、それなりに。


 電車で起こったこと、なんでこんなに慌ててるかってこと、全部話した。


 ちゃんと説明できてるかどうかはわからなかった。


 でも、黙って聴いてくれた。


 台所に座って、うすしお味のポテトチップスを頬張りながら。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ