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雨上がりに僕らは駆けていく Part2  作者: 平木明日香
白いパンツ
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第13話


 「…しゃっ!」



 女はガッツポーズをして、見事に空振りした俺を見ながら、声を上げた。



 …振り遅れた、だと?


 うまく現実を受け止めきれずにいた。


 呆然と立ちすくんでいる横で、女は近づいてくる。



 「あんたの負けね」



 勝つとか、負けるとか、そんなことはどうでも良かった。


 俺はすっかり見入ってしまっていた。


 およそ女子高生とは思えない、オーソドックスなピッチングフォームに。



 「…さてはお前、男やな?」


 「はぁ!?」



 そうじゃないと説明がつかない…


 何者か知らないが、そんじょそこらのやつが投げる球じゃなかった。


 控えめに言ってバケモンだ。


 俺が油断していたというのもあるが…



 「失礼なやつやな」


 「…それはお前だろ」



 色々言いたいことはある。


 勝負には応じたものの、まだ名前も聞いてない。



 「まじで、誰?」



 至極真っ当な質疑だと思う。


 ただ、応答がない。


 女は地面に転がったボールを拾って、埃を払った。



 「はい」


 「…ああ、どうも」



 ずいぶん几帳面じゃないか。


 見かけによらず



 「今、私のことバカにいたやろ?」



 ギクッ



 まるで見透かしたようにこっちを見てくる。


 日に焼けたとは言ったが、よく見ると透き通った肌だ。


 丸みおびたシャープな顎のラインは、端正な顔立ちと相まって奥ゆかしい。


 (…男じゃないな)


 自然とそう思えた。


 まあ、いちいち考えなくてもわかることなんだが。

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