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雨上がりに僕らは駆けていく Part2  作者: 平木明日香
ここは…?
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第138話


 「大丈夫か!?あんた」



 病院にいる千冬は、痩せこけていて、シャワーだって浴びていない。


 髪の毛はすっかりやつれて、笑う素振りさえなかった。


 生きている感じがしないんだ。


 ベットに横たわっている、あの姿からは。



 …でも、もし千冬が元気にしていたら、そのことを頭の中で想像して、日常の中に動くアイツの姿を、何度も考えたことがある。


 “きっとこんなことを言うんだろう”とか、アイツだったら、“こんな時どうするんだろう”とか。


 俺にならわかる気がしたんだ。


 ずっと隣にいたから。


 アイツの投げる姿を、目標にしてきたから。



 一体どんな顔をして、アイツは隣に立っているだろう。


 大人になったら、どんな顔をして笑うのかな。



 所詮それは「夢」だってわかってた。


 永遠に、知ることができないものだって。


 だから目の前にいる彼女が、千冬なわけがなかった。


 その目が、仕草が、たとえ彼女に似ていたとしても、“千冬”なわけがない。



 夜が近づいているのに、目がチカチカする。


 理由はわからなかった。


 ただ、街が動いているのはわかった。


 ビルの影が濃くなって、外灯に点る光の鮮度が、より深くなっていく。


 鮮やかな視界の中心で、あどけない顔。


 どこかで見たことがある、飾り気のない表情。

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