第１２２話
「ってかさ、未来未来って言うけど、どうも納得できん。千冬が高校に行ってたって、どういう意味やねん。高校やって、今から転校するいうんか？」
疑問に感じてたのは、女の話す内容そのものだ。
腑に落ちない点はいくつかあるが、第一に、千冬と俺が“同じ高校に行ってた”ってこと。
もしそれが本当なら、これからアイツが目を覚ますっていうのか…？
そんな、…夢みたいなこと
「並行世界」
「並…行…なんて？」
「この世界には、いくつかもの世界線がある」
…ああ、そういえば、この前そんなこと言ってたな。
それをどう解釈すればいいのか、まだ全然わかってないけど
「この世界とはまた別の世界の話や。あんたとキーちゃんが、同じ高校に通ってたのは」
「…うーん」
ごめん。
俺バカだからさ。
いまいちわかんないんだよ。
その「並行世界」ってのがなんなのか。
ようするにこの世界とはまったく関係ないってこと？
別の「自分」が、別の「世界」にいるってことか？
「全く関係ないことはない。ただ、その世界に干渉することはできない」
「鑑賞？」
「字が違う」
字が違うと言われましても…
他にあったっけ？
感傷
完勝
環礁…？
うーーんと
「バカやなぁ」
「言葉に気をつけろ」
「全裸にするで」
すぐそういうこと言う。
俺を社会的に抹殺する気か
それとも俺の裸に興味があんのか？
だとしたら気持ち悪いな。
悪いことは言わないから一度病院に…
「あんたの裸になんか興味ないわ！」
「せやったら服脱がそうとすな！」
「ほんなら、次回の期末テストであんたの答案用紙だけ白紙にしよ」
地味にすごい嫌がらせすんのやめて？
全科目追試とかやだぞ？
下手したら全裸になるより嫌かもしれない。
「「干渉」っていうのはな、“関わり”を持つっていう意味や。簡単に言やぁ」
「関わりを持つ…。ってことはつまり、関わりを持てないってことやん」
「そういうことになるな」
「ほんなら、やっぱり“関係ない”ってことなんちゃうん？」
「うーん。…まあ、そういうことにしとくわ」
