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雨上がりに僕らは駆けていく Part2  作者: 平木明日香
白いパンツ
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第10話


 ザッ…!



 スライドしてくるスニーカーの先端が、地面の上を滑空する。


 重心がマウンドの傾斜に沿って傾き、女の影が波のように揺らめいた。



 ストレート



 頭をよぎったのは、「まっすぐ」だ。


 向かってくる体が、淀みのない直球を予感させた。


 ——“直球”?


 だが俺は、身構えるよりも先に戸惑いを消し去ることができずにいた。


 マウンドに立っているのは女だ。


 どこの高校だか知らないセーラー服。


 砂埃の向こうで、さらさらと髪が靡いている。


 …俺は今、一体なにを目にしてる?


 そう思う感情が、心の中で置いてけぼりを食らっていたからだ。


 構えるのが一瞬遅かった。


 その僅かな隙間を縫うように、踏み込んできた女の影の後ろで、勢いよく砂が飛び上がった。




 バシィィッ…!!




 …


 ……


 ……え?




 視界に映ったのは、舞い上がったスカートと、風。


 白いものが見えた。


 ——白い、何か。


 人生で初めて目にしたものだ。


 …いやいや、俺はなにを言ってる…?


 一瞬のことで何が何だかわからなかった。


 勢いよく砂が舞って、風が通り過ぎるかのように世界が動いた。


 音のあとに残る、残像


 その向こうに、非日常的なものが垣間見えた。


 


 俺は確かに、今…

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