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交流会・事件続きの魔の森編 5



 これまでに倒されたハートフル学園の生徒は五人で、私達を入れて残る生存者は十一人。


 パーフェクト学園側との戦闘中に何人かは倒したものの、確実に戦闘不能になったのを確認したのは王子とヴィリーが倒した二人のみだった。


 二人にはユリウスが半日は起きない催眠魔法をかけたため、競技中に起きることはないそうだ。


「十四人全員で襲ってきたりとかはないのかな?」

「ないと思うな。こういうのって、味方の数が多ければ多いほどいいってわけじゃないんだよね。特に連携が上手く取れないような烏合の衆なら尚更」


 あまり人数が多いと、逆に味方が邪魔になることもあるそうだ。だからこそ、ハートフル学園側の生徒と合流し、協力する必要性も感じていないみたいだった。


 そして今は森の中を歩きながら、パーフェクト学園の生徒の姿を捜している。


「ここから一キロ先に二人いる」

「……セオドア様、すごすぎない?」


 広大な魔の森では姿を捜すだけでも一苦労だと思っていたのに、王子の神がかった魔力探知能力によりスムーズに進みそうだった。


 魔物と違い人間の魔力は感知しにくいと言われている中、離れた場所にいる相手を正確に把握する王子の能力は、ユリウスとも比べ物にならないほど優れているという。


「間違いなく相手はまだこちらに気付いていないだろうし、こちらから仕掛けようか」

「了解っす!」


 結果、ユリウスとヴィリーがメインで戦闘し、王子と私がサポートに回る作戦になった。


 王子の案内に従いながら、四人で敵がいるという場所へ気配を消して向かっていく。


「でもやっぱり、パーフェクト学園の目的が気になるよね」

「捕まえて吐かせるしかないんじゃね?」

「そうだね。次は一度、生け捕りにしようか」


 学生の学校行事イベントでは普通、絶対に出てこないワードが飛び交う。


 けれど魔蝶を奪ってでも集めて優勝したいだけなら、あんな形で倒そうとする必要はない。何らかの目的があるのは間違いないだろう。


 あと百メートルほどで目的に到達するというところで、ふと赤い何かが目に入る。


「あれ、何か落ちて……うわ──むぐっ」

「レーネちゃん、しー」


 そして近くまで行ってそれが何なのか見た私は、うっかり叫びそうになってしまう。けれどユリウスがすかさず手で口を覆ってくれたことで、事なきを得た。


 けれどこれは、叫びたくもなると思う。


「こ、これまたなんて悲惨な……」


 今度はまとめて五人も倒れており、例のごとく真っ赤な液体で染まっている。


 人数が多い分かなりショッキングな絵面になっていて、子どもが見たら泣くと思う。


「うわ、今日の夢に出てきそうだな」

「…………」


 けれど、顔をよく見てみるとみんなスヤスヤ気持ち良さそうに眠っているだけ。こんな目にあってしまった以上、せめて良い夢を見ていてほしい。


「出発の時に挨拶した、ハートフル学園一年の男の子達のチームみたい」

「後一人は誰……ってこいつ、パーフェクト学園じゃん」

「な、なんだって……!?」


 体育着が真っ赤になっていてすぐには気付かなかったけれど、間違いなくパーフェクト学園のものを身に纏っている。


「一人で行動して四人に対して攻撃を仕掛けたとは思えないし、この先にいる二人と一緒に行動していたんじゃないかな。三対四で戦って、ここにいる五人が戦闘不能になった」

「あー、確かに! こいつら頑張って一人は倒したんだな」

「うっ……一年生ながらよくぞ敵を討ち取って……」


 すやすやと気持ち良さそうな寝息を立てているこの子達の犠牲は、絶対に無駄にしないと誓う。


 けれどこれでハートフル学園側の生き残りは、最大でも七人になった。一方のパーフェクト学園側は最大十三人で、まだ先は長そうだ。


「よし、じゃあその二人組を引き続き追おうぜ!」

「……ああ」


 先生方へ連絡を入れた後、再度出発しようとしたところで、ふと気付いてしまった。


「み、みんな待って! この子、地面に何か書いてない?」


 ハートフル学園の四人のうちの一人は、うつ伏せで人差し指を伸ばした状態で倒れている。


 そして彼の指の先の地面に、赤い液体で何か文字が書かれていた。


「あ、本当だ」

「まさかこれ……ダイイングメッセージ……!?」


 意識を失う間際、後から自分達を見つけるかもしれないハートフル学園の仲間に、最後の力を振り絞って重要な何かを伝えようとしてくれたのだろう。



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【公爵様、悪妻の私はもう放っておいてください】

新連載もよろしくお願いします!

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