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交流会・事件続きの魔の森編 1



 昨日はあんなにも疲れ果てていたのに、たくさん食べて寝たことで今朝はすっきりと目が覚め、しっかりと回復していた。若さというのは本当にすごいと感動してしまう。


「それにしても、魔の森って本当に暗いんだね」


 そして交流会三日目の今日は、ユリウスと王子、ヴィリーと四人で魔の森へやってきていた。


 つい先ほど競技が開始し、現在は魔蝶を捕まえるべく森の中を進んでいる。今回は私達を含めて各校4チームずつ、計32人が参加しているそうだ。


「全然虫取りって雰囲気じゃないよな。死体とか転がってそうな感じでさ」

「怖いこと言わないで」


 けれどヴィリーがそう言うのも分かるくらい、森の中は暗くてじめじめしていて、不気味な雰囲気が漂っている。


 私はとてつもないビビりのため、木々が揺れる音やカラスの鳴き声にも驚いてしまい、小動物が足元を駆け抜けて行った時には大声で叫んでしまった。


 そんなこんなで私はずっと、ユリウスの腕にしっかりしがみつきながら歩いている。


「うう……ごめんね」

「俺はレーネがしがみついてくれているだけで楽しいよ」

「それは良かったです」


 とはいえ、魔物が出る森で一日過ごすため、みんな服装や武器もしっかり準備してきていた。


 それぞれの個性が滲み出ている戦闘服姿は絵になりすぎていて、魔王も倒しにいけそうだ。


 私は背中に相棒のTKGを背負っており、ユリウスと王子は腰から剣を下げ、ヴィリーは両手に黒いガントレットを装備している。


「ヴィリーのそれ、かっこいいよね! 解釈一致って感じ」

「だろ? 俺はとにかく何も考えずに思いきり殴るのが得意だから、すげー合ってるんだ」


 攻撃力が跳ね上がる魔法効果が付与されているらしく、大型の魔物も一撃で倒せるんだとか。


「セオドアの双剣もかっこいいよな」

「正直なところ、意味分かんないくらいかっこいいよ」

「…………」


 そう、なんと王子は二刀流らしい。


 二本の剣を扱うには強い腕力や握力、持久力などが必要だそうで、そんな武器を王子が使いこなすと思うと胸が熱くなる。もう私なんかより王子が主人公でいいと思う。


 みんな自分に合った武器があり、ミレーヌ様が槍で戦う姿は素敵だったし、吉田とエクセレントナイトソードの相性も抜群だったけれど、アーノルドさんの鞭だけは未だに呑み込めずにいる。


「……レーネ? どうかした?」

「三年生のこと考えてたら、卒業しちゃうの寂しいなって」

「卒業したって何も変わらないから大丈夫だよ。あいつらも大学に行くみたいだし」


 大学と合同のイベントもあるらしいこと、ユリウスが当たり前のように「何も変わらない」と言ってくれたことで、寂しさも消えていく。


「ありがとう、とにかく今日は楽しもうね! 私はまずこの森で独り立ちします」

「俺は一生このままでいいよ」


 そんなやりとりをしていると、ユリウスは不意にぴたりと足を止めた。


「魔蝶の気配がする」

「えっ? どこ?」


 これだけ広い森で小さな蝶を闇雲に探しては日が暮れてしまうため、魔蝶の魔力を探知するのが手っ取り早いと聞いている。


 けれど本当に微弱な魔力らしく、探知するだけでも至難の技だからこそ、こうして競技にも使用されているんだとか。


「ここから少し先、目視はできないけど、あの奥の木の向こうにいるよ」

「…………」

「あの辺りに意識を集中させて、探知する練習をしようか」

「はい!」


 ユリウスと王子ははっきりと分かっているようで、私とヴィリーもこの感覚を覚えるため、目を閉じて言われた通りの場所を意識しながら探ってみる。


「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「うん、後でもう一度やってみよう。大丈夫だよ」


 本当に全くさっぱり欠片も感じ取れなかったものの、感覚さえ掴めば一気に探知できるようになることもあるらしく、今日は何度でも挑戦してみようと思う。


 ユリウスが言う場所へそろりと向かうと、青白く光る一匹の蝶の姿があった。姿形は見知っている蝶とさほど変わりないけれど、その輝きは見惚れてしまうほどに美しい。


「うわあ……綺麗……!」

「レーネが捕まえてみる? どうぞ」


 こくりと頷き、腕に嵌めてある銀色のブレスレットに触れた。この魔蝶を捕まえるための魔道具については学園で何度も扱う練習をしたため、自信はある。


 ブレスレットに魔力を流し込んで魔力で網を作り、ぶわっと魔蝶を覆う。すると次の瞬間には魔蝶の姿は消え、ブレスレットには【1】と表示されていた。


「で、できた……!」

「上手だね。この調子で捕まえるだけだから、頑張ろうか」


 昨日のボス水竜との戦いに比べると驚くほど平和で、ワクワクすら感じる。きっと自分で魔力を探知して捕まえられるようにもなれば、より楽しいに違いない。


「でも、捕まえた魔蝶ってどうなるの?」

「競技が終わった後は森に放されるよ。魔法薬に使える鱗粉も魔道具の中に保存されてるから」


 魔道具の便利さに驚いていると、ヴィリーがユリウスのマントをくいと引っ張った。


「金色の魔蝶もいるって本当なのか? 売れば一匹で王都に屋敷が建つっていう」

「本当だよ。俺もオークションで見たことがある」


 生徒の間では有名な話で、金色の魔蝶に出会える確率なんて奇跡レベルではあるものの、一攫千金を目指してこの競技に参加する人も少なくないという。


「じゃあさ、俺らもそれを見つけるの目標にしようぜ! 捕まえたら山分けでさ」

「…………」

「いいね、そうしよう!」


 ヴィリーの提案に、王子と笑いながら同意する。


 そして金色というワードから、ふと開会式でのことを思い出す。タイミングを見てユリウスに尋ねようと思っていたのに、色々とあって忘れてしまっていた。


「ねえ、ユリウスってパーフェクト学園に知り合いがいたりする?」

「セシル以外はいなかったはずだけど」

「そっか」


 けれどユリウスを睨んでいた男性は、どう見ても知らないという雰囲気ではなかった。何かユリウスに対し、一方的な恨みがあるのかもしれない。


 何よりSランクだったことを思うと、ユリウスがいくら魔法に秀でていても心配になる。


「どうかした? 誰か俺のことを知ってる奴でもいた?」

「ちょっと気になる人がいるんだよね」

「……だれ? 男?」

「うん。多分三年生で金髪に紫の瞳をしてる綺麗な男の人で、身長も高くてスタイルも良くて、でもしっかり筋肉はついてる感じでモデルみたいだったよ」


 記憶の限り、見たままを伝えていく。


「あとはSランクだったから、頭も良──ぐむっ」


 けれど途中でユリウスによって、口を塞がれてしまった。



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【公爵様、悪妻の私はもう放っておいてください】

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