絶対に負けられない戦い 1
いつもありがとうございます!
小説7巻やコミックス5巻、新アクリルスタンド5種の発売やスピンオフ、舞台化など情報過多なのでぜひあとがきまで読んでいただけると幸いです><
「──ネ、レーネ、朝だよ」
眩しい光が降り注ぐ中、優しく肩を叩かれる。
大好きな声をもっと聞きたいという気持ちよりも眠気が上回ってしまい、逃げるように頭から布団を被った。けれど、すぐに剥がされてしまう。
「明日は早起きするから起こしてって言ったの、レーネなんだけどな」
「……うう……あと十分……」
「いい加減起きないと、好きにするよ」
「……あと一回だけ寝たら起きるので……五分だけ……後生だから……」
どうしようもなく眠たくて、ほんの少しでいいからもう一度眠りたくて仕方ない。
もう寝ることしか考えられず、必死に目を瞑る。
「…………?」
すると不意に耳に柔らかい何かが触れて、一気に視界が暗くなる。
だんだん耳から頬とそれは移動し、くすぐったさに目を開けたところで、私は悲鳴を上げた。
「う、うわあああ!」
目と鼻の先に、美しすぎるユリウスの顔があったからだ。直後、一瞬にして脳が覚醒し、飛び起きる。
あまりにも勢いが良すぎたせいでベッドから転げ落ち、床でひっくり返ってしまう。ユリウスはベッドの上からそんな私を見下ろし、おはようと爽やかな笑みを浮かべた。
「い、いいい今、何をされて……?」
「起きないと好きにするって言ったのにレーネが起きないから、好きにしてた」
「具体的にお願いします」
「あちこちにキスをして、もうすぐで唇だったのに起きちゃって残念だったな」
「あああああ」
恥ずかしさで爆発しそうになり、両手で顔を覆う。
寝起きから刺激が強すぎて、血圧が大変なことになっている気がする。
起こしてほしいと頼んだのも私だし、起きなかった私に非はあるものの、もう少し他の方法があったのではないかと思う。まだあちこちに唇の感触が残っていて、心臓がばくばくとうるさい。
「レーネちゃん、馬車に轢かれて潰れたカエルみたいでかわいいね」
「……本気で言ってます?」
「もちろん。俺はいつだって本気だよ」
未だに床でひっくり帰っている私を見つめるユリウスに、嘘をついている様子はない。
こんな姿を見ても冷めないどころか、かわいいなんて感じるユリウスは奇特というか、正直どうかしていると思う。
恋は盲目という言葉があるけれど、最近は真理なのではないかと考えている。
「今日から新学期だし、ちゃんと準備しておいでね」
ユリウスは既に制服に着替えていて、ばっちり身支度を終えていた。
いつだって完璧な美貌のユリウスは私を起こしてくれた後、部屋を出ていこうとする。
「あっ、起こしてくれてありがとう!」
「どういたしまして。俺は役得だったけどね」
「うっ……ユリウス、キャラ変わりすぎじゃない?」
「俺もそう思うよ」
朝から甘すぎるユリウスはそう言って笑うと、部屋を後にした。
──この世界に転生してきた頃は、私を面白がったり利用しようとしたりしていたのに。今ではその一挙手一投足から愛されているのが伝わってきて、くすぐったくなる。
けれどもちろん今のユリウスの方が私は好きだし、幸せだと思う。
「……はっ、急がないと」
じわじわと再び熱を帯びていく頬を両手で殴ると、私も急ぎ支度を始めた。
とんでもない事件に巻き込まれ、地下強制労働施設で大半を過ごしてしまった夏休みも終わり、今日から新学期──二年の二学期が始まるのだから。
「うん、かわいい!」
鏡に映る私の左耳の上では、ルカからもらったリボン型のバレッタが輝いている。
制服のネクタイとよく似たベルベッドカラーのこのバレッタは、ルカが毎日着けられるようにとプレゼントしてくれたものだ。
銀河一かわいくてかっこよくて魅力的で愛らしくて天使な弟がくれたこのバレッタを、学園がある日は毎日大切に身に付けようと固く心に決めていた。
「よし、今日も頑張ろう! たくさん良いことがありますように」
潰れたカエルから美少女の姿になり、笑顔で気合を入れる。
そうして自室を出て食堂へ向かうべく歩いていると、廊下でジェニーと出会した。同じ制服ではあるものの、彼女の胸元では眩しい銀色が輝いている。
「あ、おはよう!」
「…………」
元気に声をかけてみたけれど、ジェニーから挨拶が返ってくることはない。
いつもなら完全な無視にムッとするところだけれど、こちらへ視線を向けることすらなく、まるで聞こえていないような様子に違和感を抱いた。
ジェニーは俯いたままどこか虚ろな暗い表情で、食堂へ向かっていく。
「やっぱり、最近のジェニーの様子は変だよなあ……」
同じ家で暮らしている以上、どうしても気になってしまう。それでも嫌っている私に悩みを話してくれるはずはないし、とにかく平和で過ごせるよう祈っておこうと思う。
◇◇◇
「属性魔法を組み合わせるには、兎にも角にも魔力のコントロールが重要です。組み合わせる属性によって、それぞれバランスが違い──……」
先生の話を聞きながら、必死にノートをとっていく。二年冬のランク試験の実技試験にも関わると聞いているし、しっかり学ばなければ。
ガリガリガリとペンを走らせる私の隣では、ヴィリーが机に突っ伏している。
「レーネ、よくそんなやる気出るよなあ。休み明け一発目とか、マージで頑張れねえ」
「私は次の試験でBランクになる女だからね」
「お前なら本気でいける気がしてくるからすげーわ」
現在、私の胸元ではCランクの証である青いブローチが輝いている。真っ赤なFランクからここまでこられたことを感慨深く思いつつ、ここから先が正念場だということも理解していた。
次の二年冬のランク試験では、必ずBランクにならなければならない。
Bランクがどれほど高い壁であるかも、よく分かっているつもりだ。これまで以上に血の滲むような努力をし続けなければ、間違いなく不可能だろう。
「では、まずは火魔法と風魔法から実践してみましょうか。上手く扱えるようになると、お風呂上がりに髪を温風で乾かしたり、寒い時に身体を安全に温めたりと広く使えますよ」
説明が終わり、練習用だという水晶玉が配られる。
各属性の魔法を水晶に放つと火魔法なら赤、風魔法なら緑といった色に変わり、それらを上手く組み合わせられれば綺麗な黄色になる、という目で見て分かりやすい優れものらしい。
「テレーゼすごい! もはや黄色が金色に見えるよ」
「ふふ、ありがとう。でも、まだ微調整が必要かもしれないわ」
テレーゼは授業で習う前から使いこなしていたこともあり、あっさりやってのけている。少し離れた席にいる王子や吉田の水晶も、綺麗な黄色になっていた。
「おい、いくらやっても赤にしかならねえんだけど」
「すごい、リアル火の玉だ」
その一方で、隣に座るヴィリーの水晶は火魔法が強すぎるのか、真っ赤な火の玉になっている。
次のランク試験の実技にも関わってくるため、私も真面目にやらなければ。
一息吐き、水晶に両手をかざして火魔法と風魔法を組み合わせるイメージをする。ユリウスが優しく髪を乾かしてくれる時のことを思い出しながら、魔力を放つ。
「──え」
いつもありがとうございます! 新章は1冊分書き終えてあるので、ちょこちょこ更新していきます。
そして9月14日に小説7巻(サイン本)、コミックス5巻、新アクリルスタンド5種が発売されます!
舞台はVSパーフェクト学園の交流会です!
レーネとユリウス、王子、ヴィリーが4人で魔の森での競技に挑むかっこいい最高の表紙が目印です;;
またTOブックスオンラインストアにて、アクリルスタンドと《サイン本》のセット販売もあります!
アクスタは1個セット、もしくは5個セット(計算合ってる?ってくらいお得です)サイン本のご予約が可能なので、ご予約よろしくお願いします(;;)♡
デートをイメージした今回のアクスタ、めちゃくちゃかわいくて映えますよね……!(くまのみ先生は吉田、荷物を持ってくれそうとのこと)(わかる)
そして最初の画像にも書いてありますが、なんと
《《舞台化決定です!》》
レーネ達が2.5次元に……楽しみです!ドキドキ
そしてもうひとつビッグニュースが!!!なんと!!!
《《スピンオフ/王子ルートも決定です!》》
小説・コミカライズでお届けする予定なのでよろしくお願いします! 王子の溺愛……!?!?
コミックス5巻は仲良し同じクラス三人組、かわいすぎる……!♡♡ 色々な特典がついた小説コミックスセットもあるので、どうぞよろしくお願いします!
チート兄がこんなにも色々な展開をしていただけるのは、本当に本当にいつも応援してくださる皆さまのおかげです! ありがとうございます;;
70万部も突破とのことで、すごいです(大感謝)
これからも頑張るのでよろしくお願いします!




