心理テスト
7章の再開は来月前半を予定しているので、今日はお知らせとともに番外編を更新です。
Twitterのマシュマロでいただいたリクエスト「心理テストをするユリウス」のお話です!
113部分「恋のお話 2」の後になります。
ユッテちゃんとテレーゼに見送られた私は、ユリウスと共に馬車に揺られ、帰路についていた。
手はずっと繋がれたままで、落ち着かないまま。
「さっき、盛り上がってたね。何の話をしてたの?」
「げほ、ごほっ……それはですね……」
その上、気まずすぎる話題を振られ、動揺した私は思わず咳き込んだ。
まさかユリウスと血が繋がっていないということを友人達に告白し、このドキドキが恋かもしれないなんて話をしていたなんて、言えるはずがない。
「ユ、ユッテちゃんが、心理テストをしてくれたの!」
「そうなんだ。女の子ってそういうの好きだよね」
嘘はついていないし、なんとか誤魔化せたとほっとしたのも束の間、ユリウスは「そうだ」と呟いた。
「どんな内容? 俺にもやってみてよ」
「えっ……」
ユリウスは絶対に心理テストなんて信じないし、興味のないタイプだと思っていたのに。
しかもこのタイミングで「実は好きな人」が分かるという問いをぶつけるのは、非常に気まずいものがある。
予想外の展開に、冷や汗が流れていく。黙り込んでいると急かされ、仕方なく口を開いた。
「……え、ええと、二人きりで一緒に旅行に行くなら誰がいい? だったかな」
「レーネだよ」
そして、迷うことなくそう告げられた途端、顔が熱くなるのが分かった。
「あ、アーノルドさんとかじゃないの?」
「うん。絶対にレーネがいい」
どうしようもなくドキドキしてしまい、ユリウスの方が見れなくなる。
「それで、答えは?」
「わ、忘れちゃった! ごめん!」
「あはは、何それ。意味ないじゃん」
正直に伝えられず誤魔化すと、ユリウスはくすりと笑い窓の外へ視線を移した。
やはりそこまで興味はないのか、それ以上尋ねられることはなく、安堵する。
「…………っ」
──心理テストなんて絶対に当たるわけでもないし、ただの遊びだと分かっている。
それでもそれからしばらく、胸の高鳴りは収まることはなかった。
◇◇◇
「ねえ吉田、二人きりで旅行に行くなら誰がいい?」
「なんだいきなり。父か、セオドア様じゃないか」
後日、吉田にも心理テストをしてみたところ、何の面白みもない回答をされた。
「まあ、絶対にお前だけはないな」
「よかった……これからも私を好きにならないでね」
「は?」
おわり
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