学祭準備 1
サイン本の冊数を聞いてひっくり返りまして、急遽感謝の更新です!ありがとうございます( ; ᴗ ; )
ユリウス達と別れた私は吉田と王子のもとへ寄り、二人も放課後集まってくれることとなった。その足でラインハルトのクラスへ行き、伝言を頼む。
クラスに戻りテレーゼとヴィリーにも声を掛けたところ、二人も参加してくれるようで、ほぼ全員集まることができそうだ。
これだけ心強い仲間達がいれば、私ひとりで気負わなくても良いだろう。学祭が俄然楽しみになり鼻歌を歌っていると、お菓子を手にユッテちゃんがやってきた。
秋休みに国外へ行ったお土産らしく、ありがたくお菓子の詰め合わせだという小袋をいただく。
「レーネちゃん、ご機嫌だね」
「うん! 学園祭が楽しみなんだ」
「あ、もしかして出店?」
そうしてこれまでの流れと参加する予定の友人や先輩方を話したところ、ユッテちゃんは突然私の肩を両手で掴んだ。
「待って、ジェレミー先輩も参加するの!?」
思い切り前後に揺さぶられ、視界がブレる。口から内臓を吐き出しそうになりながら、なんとか口を開く。
「た、たぶ、ん……」
「あっ、ごめんね! つい興奮しちゃって」
「だ、大丈夫だよ。ユリウスがあいつは俺の誘いを断ったことがない、って言ってたから、多分、く、来るんじゃないかな……」
無事解放された私は未だに脳が揺れるのを感じながら、彼女の話を聞くことにした。
「実は音楽祭で隣の席になった先輩ってね、ジェレミー先輩のことなの」
「ええっ」
まさかユッテちゃんが話していたイケメン先輩が、兄の友人のイケメン先輩だったとは。やはり世の中は狭い。
そしてこれこそ学園祭ラブチャンスではないだろうかと思った私は、ユッテちゃんの手を取った。
「良かったら、ユッテちゃんも一緒に出店やらない? 私、アシストとかあまり上手じゃないかもだけど、二人で過ごせるように頑張るから!」
「レーネちゃん……! ありがとう……」
ぎゅっと抱きつかれ、甘くて可愛らしい香りが鼻をくすぐる。ユッテちゃんがどれほど恋愛に対し憧れを抱いていたか、努力を重ねたてきたか、私は知っている。
神殿に日参していたことを思い出すと、ほろりと涙が出そうになる。私自身めいっぱい楽しみつつ、ランク試験の加点も狙いつつ、友人の恋の応援もしたい。
とても有意義な学園祭になりそうだと思いながら、私はユッテちゃんを抱きしめ返した。
◇◇◇
そして放課後、掃除を終えた私は出店メンバーである10人とともに空き教室に集まっていた。
超美形の男女がこれほど集まっている絵面はあまりにも眩しく、神々しさすら感じる。
「このメンバーなら、何をしても世界を獲れそう」
「校内で十分だがな」
冷静なツッコミをしながら吉田は黒板にチョークを走らせ、美しい字を書いている。
今は私と無理やり書記に指名した吉田が教壇に立ち、他のみんなには自由に座ってもらっていた。
ユリウスとアーノルドさんは私の目の前、後ろにはミレーヌ様とイケメン先輩が並んでいる。
その斜め後ろでは王子とラインハルトにヴィリーが一方的に話しかけ続けており、その近くではテレーゼとユッテちゃんが隣り合って会話していた。メンバーの仲の良さもばっちりで、ほっとする。
私はこほんと咳払いをすると、口を開いた。
「皆様、本日はお集まりいただき誠にありがとうございます! まずは何をするか決めたいのですが、とにかく単価の高いものが良いのかなと……」
「そうだね。ちなみに去年は飲食店が多くて、気軽に飲めるドリンク系が人気だったかな」
「なるほど」
ユリウスの言葉に、周りも頷いている。確かにお腹がいっぱいになるような重い食べ物メインだと、回転率が悪くなり、数も出にくいかもしれない。
となるとやはりカフェ系がいいかなと発言すれば、ミレーヌ様は「私もそう思うわ」と同意してくださり、長く美しい髪を耳にかけた。
「何かコンセプトや高級感があれば良さそうね」
「ま、それが妥当だね。俺はただの紅茶でも10万リリエで売りつける自信あるけど」
そんなことをさらりと言った兄に、アーノルドさんも同意していて恐ろしくなる。ちなみに10万リリエは日本円に換算すると5万円ほどだ。
「コンセプト……あ」
記憶の中の少女漫画などでは大抵、メイドカフェや執事喫茶的なものをやっていた記憶があった。
「女性はメイド、男性は執事になってカフェをするっていうのはどうでしょう?」
「絶対にダメ。レーネは特に」
「うん、ユリウス様の言う通りだと思うな」
けれど、光の速さでユリウスとラインハルトの過保護組に否定されてしまった。
「でも今回は男が多いし、執事ってのはいいんじゃないかな。ぼったくり価格でやれば」
ユリウス、アーノルドさん、ヴィリー、吉田、王子、ラインハルト、そしてイケメン先輩。
確かにこのメンバーなら、安い茶葉を金塊に変えることも可能な気がしてくる。
それでも、果たしてそれはカフェと言えるのだろうかという疑問を抱く。ただのカフェだと思って入ってきた男性客から、あまりにも法外な値段だとクレームがくる可能性だってある。
「それなら最初から女性客に絞って……しっかり高級感を出して……単価も上げられるもの……」
色々と考えた末、私はとある名案を閃いてしまう。
間違いなくこれが︎︎ ︎︎"正解"だと確信した私は、バァンと教卓に手をつくと、口を開いた。
「──ホストクラブ、というのはどうでしょう?」
担当編集さんからご連絡をいただきまして、なんとびっくりサイン本を約1000冊も書けるそうで……!!
ご予約してくださった皆さま、本当にありがとうございました!すべて大切に書かせていただきます( ; ᴗ ; )
これからもたくさん頑張ります!!!!!!!