表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミサンガ美沙子の人繋ぎ  作者: きういーさん
1/2

プロローグ

ミサンガ美沙子の人繋ぎは初投稿の連載小説となります。

あくまで趣味ですので、適当に批評していただけると幸いです。

・プロローグ



今日は、空がきれいな一日だった。


今日は私の誕生日。


腕に巻いたミサンガを激しく上下に振りながら、


一刻も早く家に帰ろうと、足取りはどんどん早くなった。


楽しみに緩む頬は、恐らくはたから見てとてもだらしなく見えたのだろう。


「ママ、あの人なにー?」と言われ、


その母親が蒼白になるという


微笑ましい定番のやり取りが見られるくらいには不審者っぽく見えたようだ。


いやしかし自分で言うのもなんだが、


外見は普通よりちょっと上な自信はある。


そんなにひどい顔をしているだろうか?


それはそれでちょっと傷つくというか…自信無くすというか…


少し足取りが緩んだその時、急に先程の母親の叫び声が、耳に入ってきた。


次の襲って来たのは妙に温かい液体を腹部にかけられているような感覚。


私が『それ』を理解したのは、数秒経って、足の感覚を失い始めた時だった。


私は、刺されたのだ。ナイフで、通り魔に。


なんだ……あの子供は別に私の事を言ってたわけじゃなかったのか。だとか


……子供が刺されなくてよかった。だとか


何故かそんな、どうでもいいこととか、偽善的なことだとかが脳内に浮かぶ。


思い返せば、意外と恵まれた人生だった。


彼氏は2人出来てたし、勉学も中の上。


運動が出来ないわけではなかったし、


友達にも恵まれた。



これが走馬灯というモノなのだろう。楽しかった記憶は全て過ぎ去り、


今この状況からどうにか助かる方法を


身体が、脳が足りない酸素で思い出そうとする。


そうしている間に、ゆらりと身体は揺れ、私は地面に倒れ伏した。


結構酷い音がした。頭も打った。でも痛くはない。


既にナイフは抜き放たれ、通り魔はとんでもない顔でこちらを見ている。


警察へ通報している人もいるし、スマホでこの状況を撮影している人もいる。


ああ、私は死ぬのだ。


偶然にも通り魔の殺人衝動の対象に選ばれ、刺された。


それだけで私は死ぬのだ。


刺されたのは1回だけなのだろうか?


それとも気付かなかっただけで何度も刺されたのだろうか?


自分のあまりの鈍感さに苦笑が漏れる。


……ああ、生きたいなぁ…


そんな思考を最後に、私、綴 美沙子(ツヅリ ミサコ)は、


25年間付き添ったその儚い命を手放した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ