第6話「決戦!ゆらめきランド!」
「遊ぼうぜぇ〜 エアーガンマン!」
「・・・・・・・。」
「アミダパラピヤカ、ホムダムラ、ムンバラ!」
土埃が晴れて、3人の姿がゆっくりと見えてきた。
『・・・お前らは誰だ!?』
「俺達は、お前の友達さぁ〜ひゃっはっは!」
『うそつけ!お前らと会ったことないぞ!』
「・・そういうツッコミをすんじゃねぇ!」
『いいから名を名乗れ!はやく自己紹介をしろ!!』
「・・あ、ああ、してやるとも!聞いて驚くなよ?俺達は・・・」
この1人目の男。丸つばの帽子をかぶり、ひょろりと長身。
大きな垂れ目の下にはクマ、赤らんだでっかい鼻を持ち、長いもみあげに無精髭。
くちゃくちゃと口の中の噛みタバコを、時折ブッと吐き捨てると、おもむろに両手の人差し指をダンの足元に向けた。
そして「だきゅーん!」と叫ぶと、ダンの足元で土煙りが上がる。
二丁拳銃の使い手、その名も、スコーピオンダンサー!
2人目の男は全身を真っ黒のコートに身を包み、大きな黒いウェスタンハット、
まんまるのサングラス、無表情にのそのそとダンに2,3歩近寄った。
逞しいドンタコス風の口髭が静かに動いたかと思うと、次の瞬間「ボッシュ!」と叫び、コートの内側から発射された激しい衝撃が、ダンをかすめた。
狙った獲物は絶対に逃がさない。荒くれ者の賞金首達が最も恐れる男、早撃ちのジャン・ドンペリ!
3人目の男は、巨大な図体を持ち、ざんばらのロングヘアーに、褐色の肌、鍛え上げられた肉体が、テキサス風のチョッキから覗く。
唇を指でプルプルと揺らすと、風の中に大自然を感じながら、大きく両手を上げ目を閉じた。
低い声で「ハンボブラブ、ドゥエジ、ガンバフラバハ。」と呟いた次の瞬間、「シュパ!」っと叫び両手を振り下ろす。
ダンのGジャンがスパっと切れた。インディアンソルジャー、投げナイフの使い手。レッド・キャベツ!
そして3人は声を揃えて叫んだ。
「我等、エアーガンメン!!!」
バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!
『エ・・エアー・・・ガンメン!!!!????』
ダンの問いに答えることもなく、3人は三方向に散開し、ダンを囲んだ。
「ま、遊ぼうや。ダンくん。」
『ああ・・どうやらお前等に話は通じないみたいだしな。。。』
3人がじりじりと間合いを詰めながら、ダンの周りを回り出した。
「だきゅんだきゅーん!」
「ボッシュ!ボッシュ!」
「シュパ!シュパ!」
瞬間、ダンは高く飛び上り、囲いを破って走り出す。
ベンチの並んだ植え込みをきりもみしながら飛び越えて、転がりながら両手を抜いた。
『パン!パン!パン!パン!』
「ちっ・・だきゅんだきゅーん!」
「ボッシュ!ボッシュ!」
「シュパ!シュパ!」
激しい土ぼこりがダンの周りに立ち込める。
全てを間一髪でかわしてゆくダン。
『パン!パン!パン!』
「ぐわはっ・・!!」
スコーピオンダンサーの左肩から、鮮血が飛び散った。
「ボッシュ!ボッシュ!」
『パン!パン!パン!パン!』
ダンの頬に、一本の血の筋が走る。
ジャン・ドンペリのコートの端が、破れて風に舞う。
「シュパ!シュパシュパ!」
『パンパンパンパン!』
「ボッシュボッシュ!ボッシュボッシュ!」
「ねぇねぇ、お母さん。あの人達、何してるの?」
「しっ!見ちゃダメよ!」
「はーい。」
『パンパンパンパン!パンパン!!!!!!』
「ボッシュボーーッシュ!!!!!」
的確に襲い来る銃撃を、ダンは転がりながら避け、上手くかわしながら残った二人と距離を取る。
起き上がり様に片手で側転して、逆さまの状態からキャベツの額を狙った。
『パンパンパンパンパンパン!!!』
「シュパ!シュパシュパ!ウウッ・・モブバラフマ・・ み、見えない。。目が、目が。。」
ダンの弾丸がキャベツのバンダナをかすめて、額から流れた血が眼に入り、
キャベツは、そのままその場にうずくまった。
『・・どうする?もうお前一人だぜ!!』
ジャン・ドンペリとダンが、およそ5メートルの距離で向き合う。
「ふむ・・ならば、早撃ち勝負と行こうかね。」
そう言って不敵な笑みを浮かべると、コートの中からウイスキーグラスを取り出し、
そして一口含むと、ゴクリと喉を鳴らした。
「私の本職は早撃ちでね。本来、複数でどうこうっていうのは、苦手なのだよ。」
『早撃ちだと・・!?』
「・・・見たいかね?」
眉毛をクイっと上げて、また不敵に笑う。
ふと周囲を見渡し、落ちている空き缶を指差した。
「・・見ていたまえ。」
ウイスキーグラスを持った手を、ゆっくりと身体の前に突き出すと、不敵な笑みを浮かべたまま目を閉じた。
そして一度ゆっくりと息を吸い、次に目を見開いた瞬間、グラスから手を離し、グラスが落下を始める。
「ボッシュボッシュボッシュ!」
ドンペリの足元でグラスが割れて飛び散った。
「・・・・・・・・。」
『・・・・・・・・。』
「フフフ。また会おう。エアーガンマン。」
コートを翻し、ジャン・ドンペリは颯爽と消えていった。
『ちょっ・・!!』
2本のジュースを手に持ったまま、パン子は一人、ベンチに座っていた。
目の前でくるくると回る乗り物を、ただ、なんとなく目で追いかけて、小さな溜息を一つこぼした。
「エクスキューズミー。ちょっといいですか?」
「・・・・はい?」
ふとパン子が顔を上げると、そこに立っていたのは金髪のイケメン。
そう、さっきダンに銃を突き付け、不敵に笑った謎の男だ。
男はさわやかな笑顔でパン子に近寄り、自然と至近距離に立った。
「このへんで、飲み物売ってるところ、どこかな?」
「えっ・・売店ですか?」
「うん。ゴホゴホ。。ちょっと薬を飲みたくって・・ゴホゴホゴホ!」
「あ、これ良かったらどうぞ!」
パン子はとっさに持っていたジュースを差し出した。
「いいの?ゴホゴホゴホ・・ありが・・ゴホッゴホゴホ。。」
「うん、どうぞ。。早くお薬飲んでください。」
苦しそうな表情を抑えて、にこやかにジュースを受け取ると
男は内ポケットから出した錠剤を飲み込んで、ふぅ・・っと息を吐いた。
「ありがとう。助かったよ☆」
男のウインクに、パン子もニコっと笑顔を返した。
「何かお礼をしなくちゃ・・」
「いえ、お礼だなんて・・気にしないでください♪」
「でも、そういうワケにはいかないよ。。」
「本当に、気にしないで?それより、咳が治まって良かった♪」
「ありがとう☆本当に助かったよ・・・・あ、そうだ!」
「・・・?」
ニコニコと笑顔のパン子の耳元に、男は顔を寄せて囁いた。
「・・・えっ?」
パン子がキョトンとした顔で、男の顔を見る。
「違った?」
男がウインクしながら、さわやかに笑う。
「・・どうして分かるんですか!?」
「ハハ・・ちょっとした勘だよ☆」
「すごい。。どうして私が悩んでるって解ったんだろ。。」
「僕は・・実は超能力があってね☆」
「うそ?すごい!」
「なーんてのは冗談☆答えは簡単!」
「・・・??」
男がパン子の顔に、ぐっと顔を寄せた。
本来ならばこんな至近距離に男性の顔があれば、パン子は当たり前に抵抗を感じるものだ。
ましてやダン以外の男性だったら、それは尚更のこと。けれどもこの男のあまりに自然な態度は、
何故だか不思議と変な抵抗を感じさせない雰囲気があった。
「君の笑顔が、くもっていたから。」
男が、じっと瞳を見つめて言った。
パン子は、この男の持つ不思議な雰囲気に呑まれ、その言葉の一つ一つを必死に考えていたが、
ふと我に返って、あまりに近すぎるその「距離」に、顔を真っ赤にしながらとっさに横を向いた。
「僕の名前はレイン。レイン・アーモンド☆」
「わ・・わたしは・・パン子です。。パン村パン子っていいます。。。。」
「可愛い名前だね☆よろしく、パン子ちゃん☆」
「は・・・はい。。。。」
つづく!
■次回予告■
ダンだ!!なんか次々に現れる謎の男達!
エアーガンメンなんていう奴等も現れて、俺、混乱だよ!
レインと名乗る謎の男の目的は・・!?
次回!エアーガンマン!
【恋の行方はワンエン☆ツーエン(仮)】
燃えろリボルバー!
響け!愛のオルゴール!
俺は愛の弾丸! お楽しみに!!!!