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理想の光景

「皆の者!ちょっと話しを聞いてくれないか!」

 中央広場での宴会が盛り上がっている中、時雨さんの声が響きわたる。

 皆、飲み食いしていたがすぐに時雨さんの声がした方を向く。

 視線の先には時雨さん、それに先ほどの隊長達が立っていた。

「ありがとう」

 時雨さんの姿を確認した皆はすぐさま真ん中を開けて道を作る。

 そうして時雨さんと隊長達はその中を通りまっすぐ康生の方へと近づいてくる。

「どうしたんたんですか時雨さん?」

「まぁ、とにかく聞いていてくれ」

 康生の前まで歩いてきた時雨さんはそっと言って、皆の方へと向きを返る。

「たった今、他の地下都市の隊長達と話し合いをした!」

 瞬間、皆の視線が隊長達に集まり訝しむように見つめる。

 当然皆の耳には、最近他の地下都市が攻めてきていることが耳に入っているはずだ。

 そうなれば必然的に時雨さんの横に立っている隊長達はその攻めてきた地下都市の者と人々の目に写るだろう。

 だからそんな視線を向けるのは当たり前のことだ。

 果たして時雨さんはそんな隊長達をこんなところに連れてきて一体どうするつもりなのだろうか?

「話し合いの結果、我々地下都市は三つの地下都市と協定を結ぶことにした!」

 瞬間、広場に動揺の声が広がる。

 それもそうだ。突然、今まで攻めてきた他の地下都市と一緒に協力するなど普通の人なら受け入れられない。

「しかしこれはまだ決定ではない!勿論これは私一人では決められることではない!そこで皆の意見を聞きたくこの場に足を運んだ」

 時雨さんの言葉を受け、あちこちで話し合いの輪が広がる。

 きっと皆、それぞれ協定に関して賛成か反対がを相談しているのだろう。

 皆必死に頭を働かして相談している。それは皆がこの地下都市の事を考えているということなのだ。

「――いいな」

 そんな光景を見て一人の隊長が声を漏らす。

「あぁ。これこそまさに民主主義だ」

 その隊長に声に反応するかのようにもう一人の隊長も声を漏らす。

「確かにこれは理想の光景だ」

 そして最後の隊長も同意するように答える。

「お褒めいただき光栄です」

 最後に時雨さんが隊長達に返事を返す。

 隊長達の様子はもう最初のような乱暴さはなくなっていた。

「でもこれはまだ私の夢の途中です」

 と隊長達に向かってエルが言う。

「夢の途中か……」

 隊長が呟くようにして人々を見る。

「そんな日が来たらさぞ幸福なのだろうな」

 そしてそっと呟くように隊長は声を漏らしたのだった。

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