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「皆〜!こんにちは〜!」

 エルは元気よく手を振る。

「あっ、エルちゃん!こんにちは!今日も大変だったんだろ?くれぐれも体壊さないように気をつけなよ?」

「分かってるよ!」

 エルの呼びかけに答えのは一人のおばあさんで、にこにこと笑いながらエルと会話を交わしていた。

 そしてエルの声が聞こえたからか、周りで作業をしていた人たちが皆、集まってきた。

「おっ!エルちゃんだっ!」

「ほんとだ!」

「エルちゃん見てくれよ!今日もすくすく育っているよ!」

 エルの前に集まってきた人達は皆一様にエルに話しかけ始める。

「あっ!ほんとだ!昨日よりちょっと成長している!」

 その中でエルが反応したのは最後に聞こえてきた声。

(育ったって言ってたけど一体何が……?)

 エルから少し距離をとっていた康生は、会話が気になりゆっくりと近づく。

「あっ」

 瞬間、康生は小さく声をあげた。

「見てみて康生!もうこんなにも成長したよ!」

 そう言ってエルが見せてきたのは小さな葉っぱだった。

 葉っぱを見て康生は改めて辺りを見渡す。

 するとそこには畑が広がっていた。

「すごい……」

 以前までは地下都市は何もない簡素なイメージがあったが、この畑で働いている人たちを見るととても活気溢れているようだった。

「も、もしかして康生さんですか?」

 と、集団の中から一人の声が聞こえる。

「あっ、ほんとだ康生さんだ!」

 そしてその呟きが周りへと広がり、皆一気に康生の存在を認識する。

「ど、どうも……」

 過剰に反応されるとは思っていなかった康生は、とりあえず軽く挨拶を交わす。

「「ありがとうございました!」」

 だがそんな軽い挨拶の代わりに返ってきたのはお礼の言葉だった。

 皆一斉に康生に向かって頭を下げていた。

「えっ、えっ?」

 そんな光景に康生は戸惑いの声をあげる。

 すると集団の中から一人の男が代表として康生の前に出てくる。

「あなたのおかげで、今は私たち自らの手で食料を手に入れることができました。さらには都長の呪縛から解き放ってくれたりと……。本当に康生さんにはこの街の住民一同、とても感謝しています」

 といきなりそんな事を言われ、康生は戸惑いの表情を浮かべるだけだった。

「ほら、康生も何かいいなよ」

 そんな康生を見てエルは康生の肩を押す。

(何か言えって言っても……)

 あまりに突然なことなので、全く何も考えていなかった康生だが、今思っていることを素直に口に出すことにした。

「お、俺は別に対したことはしてませんよ。それにこの畑が完成したのは皆さんが頑張ったからですよ」

「もったいないお言葉です」

 康生の言葉を聞き一同皆、感動したかのような表情を浮かべる。

 とはいえその言葉は康生が思っていることであり、嘘偽りはない。

 当たり前のことを言って感動されてしまっては康生は少しばつが悪い。

「――あっ!そうだ!」

 とそんな中でエルは何かを思いついたように手をたたく。

「今日は時雨さんの家で康生のパーティーをやる予定だったけど、どうせなら皆で一緒にやらない?」

「いや、それはっ」

 流石に迷惑だろう。と康生は言おうとした。

 しかし、

「それはいいですねっ!」

「じゃあ早速準備に取りかかろう!」

「そうだな!」

「うん!」

 どうやら皆は乗り気になってしまったようだ。

「よかったね康生」

 そんな皆の様子を見てエルはにっこりと微笑む。

「う、うん」

 エルの嬉しそうな顔を見て康生は何とも言えない表情で頷いた。

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