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信用

「――それじゃあ話しを聞いてくれますか?」

 縄をほどいたエルは三人の隊長に向き直る。

「…………あぁ」

 康生はすぐにでも攻撃する姿勢で構えていたが、隊長達に抵抗の意志がないことに気づき少し呆気にとられる。

「ではまず私の個人的な目的なのですが……」

 そうしてエルは約束通り隊長に向かって話しかけはじめる。

 隊長達は先ほどの乱暴な様子から一転、大人しくエルの話しを聞いていた。

 もう自らを縛る縄がないにも関わらずだ。

「――少しはエルのことが信用できたか?」

 戸惑いの表情を浮かべている康生に時雨さんはそっと耳打ちする。

「え、えぇ……。あの人たちがエルの話しを聞くとは思いませんでしたけど……」

 エルを横目に見ながら康生は返事を返す。

 それでも康生はまだ、エルが襲われない可能性がないとは限らないので警戒を解くことはしない。

「康生はエルが街の人たちと普通に話しているのを知らないだろう?」

「え?」

「いや、街の人だけではない。今やエルは異世界人と戦っていた私の部下達とすら普通に会話をしている。最近はエルの事を祭り上げることすらあるぐらいだ」

「エルが……」

 康生自身、あの事件の後すぐに引きこもってしまったのであれからの事は全く知らなかった。あれだけ皆から敵意を向けられていたエルが今や普通に街の人と会話をしているなんて少し信じられない事だった。

 それでも、確かに回りにいる兵士達の視線がエルを心配するような視線になっている事から、時雨さんの言っている事は間違いではないことが分かる。

「――エルは頑張ったんですね」

 そんなエルの苦労を感じ取り康生は優しい口調で語りかける。

「あぁ、エルは本当によく頑張ってくれた」

 そもそも人間でる康生と時雨さんには、敵国である場所で生活しているエルの気持ちなど微塵も分からない。

 それでも康生は今すぐエルを褒めてあげたい気持ちに駆られる。

 今すぐにでも抱きしめてあげたい。そんな気持ちが溢れる。

「――これが私の考えです」

 そうこうしている間に、どうやらエルの話しは終わったようだった」

 エルの話しを聞き終えた隊長達はなにやら難しい顔をして悩んでいるようだった。

 やがて一人がエルをじっと見る。

「私たちに君を信用すれというのかい?」

 まさに値踏みするかのように、じっくりとエルの人間性をはかるように隊長を訪ねる。

「私はただ私の思っている事を言っただけです。それでも信用できないようだったら構いません」

 そしてエルはまっすぐ隊長達を向く。

 そうしてしばらく隊長達とエルはお互いに見つめ合う。

「――分かった」

 すると一人の隊長が小さく言葉をもらした。

「あぁ」

「決まりだな」

 一人に合わせるように残り二人の隊長達も皆声をあわせる。

「ありがとうございます!」

 三人の返事を聞いたエルは頭を下げる。

「それじゃあ。これからよろしくお願いします」

 すると次の瞬間、隊長達がエルに頭を下げたのだった。

「え、えぇっ?べ、別にそんなかしこまらなくてもいいよ!」

 当人のエルはとても慌てた様子で対応していた。

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