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「私は異世界人です。現在、人間と戦争をしている異世界人の一人です」

 エルは隊長相手に堂々と宣言したのだった。

 自分は異世界人だと。隊長達が戦っている者の敵だと。

「やはり貴様がっ!」

「くそっ!」

「この縄をはやくほどけっ!」

 隊長は皆一様にエルに向かって攻撃敵な視線を向け、縛られている縄をほどこうとする。

 全ては異世界人を倒すため。

(くそっ……!)

 康生はその光景を見て拳をぎゅっと握る。

 やはり康生の予想通り、人間が異世界人に抱いている思いというのは強く、正体を明かした瞬間には誰もが攻撃的になる。

 そんなことはとっくに分かりきっていたのに、康生はエルを一人でいかせてしまった。

 どれだけエルが怖いをしているのか。康生には全く想像することが出来なかった。

 出来ないからこそ康生はエルを守るために助けに入ろうとするが、やはり時雨さんに止められる。

「エルを信じてみてくれ」

 時雨さんが小さく呟く。

「――分かりました」

 そして康生は仕方なくじっとエルを見守ることを選んだ。

「話しを聞いてください」

 エルは必死になって隊長に話しかける。

「話しなど聞くものか!」

「そうだぞ!異世界人のくせに!」

「我々をなんだと思っている!」

 だがそれでも隊長達は全くエルの話しを聞く素振りは見せなかった。

(一体どうするつもりなんだよ……!)

 康生はエルを見守りながらも心の中で呟く。

「分かりました。それじゃあ今から縄をほどきます」

「なっ!?」

 エルが放った言葉になにより一番驚いたのは康生だった。

 あろうことが今、自分に敵意を向けている相手の縄をほどこうなど正気の沙汰ではない。

 康生にはそう思えすぐにでもかけようとするが、それでもまだ時雨さんは康生を止める。

「ですが一つだけ約束があります。縄を解いたら私の話しを聞いてください!話しを聞くだけでいいんです。私の望みはただそれだけです」

 エルは必死に懇意になって隊長に話しかける。

 そんなエルの態度に興奮していた隊長達もやがて冷静になりゆっくりとエルの話しを聞き始める。

「……分かった。貴様の話しを聞くだけでいいんだな」

「はい」

 隊長の一人が言うとエルは間髪入れずに返事を返す。

 他の隊長達もゆっくりとうなずき了承の姿勢を見せた。

「ありがとうございます。それじゃあ……」

 そうしてエルは隊長達の縄をほどき始めた。

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