頑張った
「時雨隊長!たった今、敵国全てが降伏しました!」
地下都市非常入り口の正面。全軍を指揮すべく立っている時雨さんの元に一人の兵士が報告をいれた。
「な、なんだと!?」
時雨さんは、兵士の報告を聞きすぐに驚きの表情を浮かべる。
「本当ですよ時雨さん」
しかし時雨さんの驚きの声に返したのは兵士ではなく、康生だった。
「康生っ!」
突然現れた康生に真っ先に反応したのは、時雨さんではなくエルだった。
元々時雨さんの背後に設置してあった救護テントの中にいたので、エルはすぐに康生の接近を察知することができたのだろう。
「――久しぶり」
康生はそんなエルを見て、短く言葉を返す。
やがて二人はじっと見つめ合い、お互い何を言うこともなく、ただにっこりと微笑みあう。
「変わらないね」
「そうだよ」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
短く言葉を交わす、康生とエルを見て時雨さんは思わず間に入る。
「再会を喜ぶのはいいがまずは敵国の降参という情報があったのだけど……」
一体、どういう気持ちで止めたのかは分からない時雨さんだが、康生は時雨さんの質問に素直に答える。
「本当ですよ。なんならこの写真が証拠です」
そう言って康生は時雨さんにある画像をスマホをで見せる。
エルも気になり、康生の画像を確認する。
するとそこには、各国の地下都市部隊の代表者が一カ所に集められており、それぞれ白旗をあげてた。
さらにはそばに自国の旗を地べたに寝かせていたので、それは完全降伏を認めたということ。
そんな画像を見て、時雨さんはガクリと膝をおろす。
「という事は無事に敵を退けたということだな……」
よっぽど今の戦闘が切羽詰まっていたものなのか、時雨さんは安心するように倒れ込んだのだった。
「今まですいませんでした」
そんな時雨さんに康生は頭を下げる。
だが、時雨さんはすぐに康生を頭をあげるようにいう。
「よしてくれ。こういう時は頭を下げるのではなく、撫でてくれると嬉しいんだが」
康生はそれを聞き少し呆気にとられたような表情を浮かべたが、すぐに何かを思い出したように笑う。
「そうでしたね。そういえば約束していましたね」
そう言って康生はゆっくりと時雨さんの頭を撫でた。
「今まで一人で頑張ってくれてありがとう」
優しく語りかけるように頭を撫でる。
「うん、頑張った」
時雨さんは幸せそうに頭を撫でられるのだった。




