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十分余裕

「も、もしかしてこいつ噂の英雄じゃ……」

 康生を囲う兵士の一人が一言呟く。

「そ、それじゃあもしかしてこいつがあの中央都市直属の部隊を全滅させたっていう……」

 一人の兵士の呟きにより、その言葉はどんどんと感染していく。

 やがて兵士たちの表情に一種の恐怖が浮かぶ。

「何を言ってる!相手は子供!しかもたかが一人だ!一人の子供相手に負けるなど我が軍の恥と知れ!」

 しかしそんな兵士たちに指揮官は声をあげて奮い立たせる。

 そうして指揮官の声を聞いた兵士たちは皆、武器を握りしめる。

「そ、そうだ!いくら英雄と言われてようが相手は一人だ!」

「そうだ!我々兵士が子供なんかに負けるはずがない!」

 恐怖が広がったように、指揮官の言葉により兵士たちに強い意志が広がる。

「降参する気がないなら早くかかってきなよ!」

 そしてそんな兵士たち相手に全く怖じ気付くことなく拳を構える。

「い、いけー!怯むな!」

 そんな康生の姿を見て兵士たちはなだれ込む。まるで何かにとり憑かれたように。

「さぁこいっ!」

 康生は大勢の兵士がなだれ込もうとも全く臆することなく拳を奮う。




「報告です!只今、英雄様が数百の兵士たちに囲まれて戦闘を行っております!」

「す、数百だと!?」

 兵士からの報告を受けて時雨さんは驚愕に声を漏らす。

「すぐに増援を向かわせ…………」

 とそこまで言った瞬間、時雨さんの耳に声が響く。

『いえ、増援は必要ありません』

 声の主はAI。どうして時雨さんの耳にAIの声が届くのかというと、理由は時雨さんがつけているイヤホンにあった。

 今、時雨さんがつけているイヤホンは康生が修行で籠もる前に渡された物だ。

 なんでも康生が使っているAIと連動しており、康生がいなくなっても畑の製作などの指示を出せるように、という理由だ。

「どうしてだ!」

 AIに止められ、時雨さんは思わず声を荒げる。

 しかしAIはあくまで機械。いくら声を荒げようが、冷静に答えを返される。

『それは今、増援を向かわせても邪魔になるだけです。今、ご主人様は大勢の兵士相手に戦っています。そんな中、増援など来られては間違って増援も攻撃してしまう可能性があります。そうなればご主人様は味方を攻撃しないよう気をつけて戦闘を行わなければなりません』

 とAIはスラスラと意見を述べる。

 しかしそれでも時雨さんは康生の危険を案じ、助けようとする。

「じゃあ、私一人でいけば……!」

『それもダメです』

 だがすぐにAIに否定される。

『どうして?それは簡単なことです』

 もはや、時雨さんがしゃべる事を予言しているかのようにAIは話す。

『それは――あの程度の数ならご主人様一人でも十分余裕だからです』

 とAIは堂々と言うのであった。

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