戦場
「逆賊どもを討ち取れー!」
そんなかけ声と共に、時雨さん達の住む地下都市に向かって大軍が押し寄せる。
場所は地下都市非常入り口である場所。その場所は外からの開閉も可能な為、攻め込むには絶好の場所なのだ。
「決して地下都市の中には入れてはならない!皆頑張ってくれ!」
「おぉーー!」
そんな入り口では、時雨さんを中心に隊列が編成されていた。
皆それぞれ地下都市を守るため、迫り来る兵士たちに立ち向かう。
「エルは救護テントで治癒を頼む!」
「任せて時雨!」
時雨さんは背後のエルに声をかける。
エルは異世界人という事で、その力を活かして戦場で傷ついた兵士たちの回復を行っている。
だからこそ、時雨さん達の部隊が今日まで戦い抜いてこれたといえよう。
そうしてそれが、人々の心に巣くっている異世界人に対する気持ちも変化していっているのだった。
「今回は二つの都市がか……」
時雨さんは戦局を見ながら小さく呟く。
今までは一つの都市から攻撃されていたので、なんとか退けてきた。
しかし今回は二つの都市だ。
二つの都市が同時に攻めてきて、果たして退けることが出来るのか。
時雨さんはただただ不安に思うだけだった。
「いや、こんな事じゃいけないな」
しかしすぐに時雨さんは考えを改める。
頭に康生の姿を思い浮かべ、時雨さんは気を引き締める。
「私がこんな弱音を吐いていたら、きっと帰ってきたときに頭を撫でてもらえないからな」
時雨さんは一度、康生に頭を撫でられた事を思いだし、顔を赤らめる。
しかしすぐに思考を変え、今は戦場に集中する。
「――時雨隊長!不味いです!増援が来ました!」
「なんだとっ!?」
時雨さんはすぐに戦場を見渡す。
すると遠くからうっすらと旗のような物が見える。
あの旗は所属している地下都市を表すマークであり、兵士達が持つマークであるのだ。
それが意味することはつまり、新たに増援が来たという事。
しかもさらに時雨さんを最悪と言わせたのが、
「しかもあのマークはまた別の地下都市の部隊であります!」
そう、今交戦している二つの地下都市とは違う地下都市のマークを掲げていた。
つまりは、今戦っている二つの地下都市にさらにもう一つ地下都市が合流したというわけだ。
「くそっ!連中も本気で潰しに来てるか……」
時雨さんは報告を聞くや否や表情を曇らせる。
「これ以上部隊が来たら我々の部隊はすぐに壊滅してしまいます!」
「そんな事はわかってる!」
(くそっ!どうしたら……!)
最悪の状況に陥り、時雨さん思考を回転させる。
どうにかして地下都市を侵略されずに、三つの部隊を撃退する方法を。
「――俺に任せて下さい!」
その瞬間、戦場に響きわたるような声が響いたのだった。




