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二度目の引き籠り

「時雨さ〜ん!今日も見回りですか?」

「あぁ。畑の様子はどうだ?」

「綺麗な水が手に入ったおかげでばっちりですよ!ほんと、英雄様には感謝してもしきれません!」

「そうか。なら良かった」


 ここは地下都市。

 以前はここには無機質な建物が並ぶだけだった。

 しかし今は違う。

 地上から手に入れた水を浄化し、それを畑に流し作物を作る。

 以前の地下都市の生活とまるで違う生活がそこでは行われていた。

 そして誰もが言う。

 こんな生活が出来るのは英雄『村木康生』のおかげであると。


「あっ、おかえり時雨!」

「あぁ、ただいまエル」

 時雨さんが家に帰るや否やすぐにエルが出迎えた。

「町の様子はどうだった?」

「変わらず活気が溢れているよ。そうそう、話によればそろそろ収穫出来る作物が出来るそうだ」

「収穫できる作物が……。そうか、もうそんなに経ったんだ……」

 時雨さんの言葉を聞き、エルは沈み込むように頭を下げた。

「あぁ……」

 エルの様子を見て時雨さんも何かを思い出すように頭を伏せる。

「康生はいつまで出てこないんだろうね……」

「どうだろうな……」

 エルと時雨さんは家の外を眺める。

「あれからもう一ヶ月も経ったんだね」

 それまでの月日を思い出すようにエルが呟く。


 あれから――康生が隊長を倒してから突然「修行する」と言って一人で籠もり始めた。

 時雨さんが気を利かせてくれて康生には家があてがわれたが、康生はそれからずっとそこ籠もり始めた。

 引き籠もる前に康生はエル達に「皆の役に立つようにもっともっと強くなる」と、それだけ言ったきりもう一ヶ月近くも経ってしまった。


「ほんと、いつ出てくるんだろうね」

「そうだな」

 エル、そして時雨さんは寂しそうな表情を浮かべる。

「――時雨隊長!大変です!」

 とそんな中、扉が勢いよく開かれた。

「どうした?もしかしてまた来たか?」

「はい!そうです!しかも今度は二種の地下都市部隊が攻めに来ています!」

「二種か……」

 ここ最近、時雨さん達を悩ませているのは近隣地下都市からの部隊編成による攻撃だ。

 都長を追放し、しかも全都市直属の兵士を倒してしまったのだから当然時雨さん達は他の地下都市、強いては全ての地下都市を統括する中央都市にとって反乱を起こしたと認識されている。

 だからこうして、幾度か近隣の地下都市から部隊が編成されて攻撃されている。

 しかし、それもいよいよ拡大化し今度は二つの地下都市が手を組み攻め込んで来ているというこだ。

「分かったすぐに行く!申し訳ないがエルはまた手伝ってくれないか?」

「何言ってるのよ!当然じゃない!」

 こうして時雨さんとエルは家を出て、地下都市入り口へと足を運ぶ。

 自分達が守った、なにより康生が救ったこの地下都市を守るために。

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