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諦めない

「やめてー!」

 リングにエルの声が響く。

 しかしそんな言葉では隊長は止まるわけがなく、隊長はゆっくりと引き金にかけている手に力を入れる。

「くそっ!!」

 それでも康生は必死に逃げようと体を動かす。しかし隊長に押さえつけられていて逃げ出すことは出来ずにいた。

「康生っ!」

 時雨さんが叫びながらこちらに近づいてくる。

 しかしもう武装解除の効果がきれたのか、速さは通常に戻っていた。

 だからこそ、時雨さんは恐らく間に合わない。康生はそう感じた。

 そう感じる頃には銃の引き金は、もう半分も引かれていた。

(何か!?何かいい方法はないのか!?)

 康生は必死に頭を回転させる。

 しかしすぐに考えは浮かぶわけもなく、ただただ頭を悩ませるだけだった。

 そうして遂にいつ銃が発砲されてもおかしくないほどまで引き金がひかれる。

(今度こそ死ぬのか……)

 すでに康生はあきらめててしまっていた。

 だがしかし、すぐに康生の視界にエルと時雨さんが写る。

 二人は康生を助けようと必死に駆け寄って来ている。

 そんな二人の姿を見て康生は思い出す。

(そうだ……俺は二人に助けてもらったんだ……。それなのに……それなのに俺が一番に諦めるなんて……!)

 康生の内でだんだんと暖かいものがわき上がってくる。

 それはやがて康生の全身に周る。

「うっ、おぉぉっ!!」

 康生は呻き声をあげながら全身に力を入れる。

「――なっ!?」

 瞬間、康生を抑えていた隊長の体がわずかに傾く。

 そして次の瞬間には隊長の体は横に傾いていた。

「うぉぉっ!!」

 さらに声をあげて康生はその場に立ち上がる。

「うっ!」

 康生が立ち上がると同時に隊長がその横で倒れる。

 そして康生はその隙を逃すことはしなかった。

「いけーっ!」

 かけ声とともに康生は拳を振り下ろす。

「くそぉっ!」

 今から立ち上がっていては攻撃を避けられないと考えた隊長はすぐに守りの態勢に入る。

 先の戦いから見て恐らく特殊な金属か何かで出来た頑丈な銃なのであろう。隊長は持っている銃を横に倒して康生の攻撃を防ごうとする。

 しかも康生が振り下ろす拳の先はちょうど隊長の胸のあたりという事もあり、一番鎧が頑丈な場所だ。

 そういう事もあり、隊長は攻撃を受けてからの事を考える。

 ――しかし、隊長のその考えは無駄になる事になる。

「はぁっ!!」

 康生の拳が振り下ろされて、構えてた銃に当たる。


 パキッ。


 瞬間、銃にヒビが入り粉々に砕け散る。

「なっ!?」

 恐らくすぐ壊れることは想像していなかったであろう。隊長は驚きの表情を浮かべる。

 だがそれでもまだ鎧がある。

 そう隊長は安心していた。

 しかし、


 バギッ!


 康生の拳があたった鎧は、みるみるうちに粉々に砕け散ってしまった。

「っ!?」

 隊長が声にならない悲鳴をあげる。

 康生の拳はそのまま隊長の肉体に向かう。

 そうなった瞬間、拳を中心に火花が飛び散った。

 そしてその火花はみるみるうちに成長していき、


 ボンッ!


 一瞬のうちに炎に成長し隊長の体を包んだ。

「あっ、あつっ!!!」

 隊長の体を覆うように炎は広がる。

「えっ?」

 それに一番驚いたのは康生だ。

 しかしすぐに火薬の入った銃を壊したことで起こった火なのだと理解した。

 そして理解すると同時に隊長の炎は力を弱めていく。

 火が完全に消えるとそこには気を失った隊長が横たわっていた。

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