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上代琉生

 パン、パンッ!


 瞬間広場に何度目かの銃声が響く。

「これで死んだはずです」

 都長の背後で隊長が建物頂上に向けて銃を放っていた。

「よ、よくやったぞ!」

 都長は隊長の報告を聞き表情を緩める。

「それでもこの状況は少し不味いです」

 その言葉を聞き都長はふと我にかえり辺りを見渡す。

 そこで都長ははじめて自覚する。自分に今視線が集まっていると。

 その視線はいつもの服従する者の視線ではなく、明らかに敵意を込められた視線だ。

「き、貴様ら!わ、儂を誰と……」

 広場中から集まる視線に都長は思わず後ずさりしながらも口を開く。

 しかし、今都長の言葉を聞く者はいなかった。

 都長の地位は完全に地の底に落ちてしまっていた。

「まだお気づきでないですか?あなたはもう都長ですらない」

 そんな中、どこからか声が聞こえる。

 それは先ほどのような大音量ではないが、確かに先ほどと同じ声だった。

 カランッ。

 それと同時に空からなにやら四角い機械が落ちてくる。

「なるほど、録音音声ですか」

 隊長が小さく呟く。

 それと同時に建物の中から一つの影が現れる。その影はじわじわと都長に向かって歩いている。

「き、貴様はっ!?」

 瞬間、都長の顔は驚愕の表情から真っ赤な怒りの表情に変わる。

 そしてそれは都長だけではなく、広場にいる皆も都長に向けていた敵意の視線を人影に向ける。

「どうもはじめまして」

 男はその場の全ての視線を集めて、右手をあげて軽く挨拶をする。

「あいつはっ!」

 そこでようやく康生が反応する。

「あっ!」

 そして同時にエルも気づく。

「上代琉生!」

 最後に時雨さんが名前を叫ぶ。

 その名前を聞き、康生はすぐにあの人物の名前だと気づく。

 そう上代琉生とは、康生達がここに来る前に出会った男。地下都市の食料を盗んだ悪党だった。

「すぐに奴を殺せっ!奴は大事な食料を盗んだ極悪人じゃっ!」

 都長が瞬時に隊長に命令する。

「…………」

 しかし隊長は動くことはなかった。

「ど、どうした!?はやく殺さないか!」

 都長が再度声をかけるが隊長はやはりその場から動こうとはしなかった。

 隊長の様子を不審に思った都長は眉をひそめる。

「はっはっはっ!」

 そんな中、上代琉生は声をあげて笑う。

「な、何がおかしい!?」

「いや、まだ何も分かってないんだなって思って」

「な、何ぃ!?」

 挑発するような態度に都長はさらに顔を赤くする。

「だからさっき言ったろ?お前はもう都長じゃないって」

「い、一体どういう……」

 都長は訳が分からずにいる様子を見て、さらに上代琉生は頬があがる。

「――貴様は地下都市の都長としての役割を放棄していたため私の名の下に貴様を連行する」

 そんな都長に向かって隊長が声をかけ、すぐに手錠をかけた。

「なっ!?ど、どういう……!?」

「連れて行け」

 都長が騒ぎたてるなか、隊長は近くの兵士に命令し都長を連行させた。

「そうだもんな。こうなってしまった以上。立場を守るためにそうするしかないもんな?」

「何のことかな?」

 上代琉生が隊長に声をかけるが、隊長は知らぬ存ぜぬの様子だ。

「それじゃあ私は行かせてもらう」

 そうして隊長は都長が連れて行かれた先を歩く。

 しかし、

「いいや、まだあんたの仕事は終わってないぜ?」

「何?」

 これで終わりかと思われたが、上代琉生はまだ何かをやるつもりのようだ。

「そこに一匹、異世界人がいるんだけど、隊長として駆除しなくていいのか?」

 上代琉生はそう言ってリングの中央を指さしたのだった。

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