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エピローグ

「――準備はいいですか英雄様?」

「――あぁ、大丈夫だよ」

 うっすらと暗い通路の中、上代琉生と康生が二人ゆっくりと足を進めていた。

「それにしてもまさか本当に俺が英雄だなんて呼ばれる日がくるなんて思ってもなかったよ……」

 一歩一歩、お互い足を進めながら康生はため息混じりにつぶやく。

「そういえばお前はずっと前から俺のことを英雄だなんて呼んでいたな」

「えぇ、勿論ですよ。あの時から俺はあなたがいずれ英雄になることが分かってましたから」

 康生はふと上代琉生との出会いを思い出す。

 そしてその一件以来、康生は上代琉生からひたすらに英雄と呼ばれるようになった。

「全く……お前の頭脳には適わないよ……」

 上代琉生の発言から、この未来を予測していたかのような思惑を読みとり康生はわずかにため息をこぼす。

「いえ、俺はそこまで頭がいい訳でもないですよ。それに英雄様と呼ぶようになったのは計算でもなんでもなくただの勘ですから」

「勘……?」

 上代琉生からの思わぬ告白に康生は驚きのあまり足を止めてしまう。

「えぇ、勘です」

 普段の計算されたような思考からは全く想像できない言葉にどうやら康生はかなり驚いたようだった。

 まさかただの勘で、英雄と呼ばれるようになことになったとは思ってもなかっただろう。

「ちょっとちゃんとしてよね康生」

 すると背後からエルが康生の背中を押すように背を叩く。

「そうですよ。あなたはもう立派な英雄なんだからせめて皆の前ではしゃきっとしないと」

「はっ、その通りだっ」

 上代琉生の言葉に続いてザグも康生の背中を強く押して前を進む。

「ふっ、そうじゃな。お主にはその辺をしっかり教えてやらないとな」

「全くだ。そんなんじゃ英雄失格だからな」

「まぁまぁ、皆。康生も病み上がりなんだからあまり言ってやるな」

「そうですよっ。今日ぐらいは少しぐらいは甘やかしてあげてもいいじゃないですか。まぁ、明日からは私の研究に手伝ってもらいますけど」

 するとリリス、リナさん、時雨さん、メルンが続いてザグの後に続いて前に歩いていく。

「ほら、康生行くよ」

「――あぁ」

 そんな皆を後ろで見ていた康生はエルに言われて共に足を踏み出す。

 踏み出した通路の先、その先では眩い光と共に大勢の民衆が康生の姿を今か今かと待ち通しにしている。

 民衆の中には異世界人も人間も皆、関係なしに数十万を越えるほどの人が集まっていた。

 そんな中、康生は仲間達と共に前へ踏みだし、その姿を民衆の前にさらけ出すと共に、多大な歓声があがるのだった。




 今日この日、英雄復活の日として全世界共通の祝日が出来た。

 そしてこの日は奇しくも、康生が世界を救った日の四年後だった。

 そうしてこの日、皆の思いが一つになっていることを康生は確信したのだった。

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