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部屋

「――ん、んん……」

 ベッドの上に横たわっていた少年がうめき声をあげながらゆっくりと目を開く。

「ここは一体……?」

 少年は目が覚めるとゆっくりと体を起こす。

 すぐさま周辺を確認するが、周りにはベッド以外のものは何もなく、ただ真っ白な壁が四方を囲っているだけだった。

 ただ一面真っ白な部屋の中にただ一人、少年は寝ていたのだ。

「……俺は今まで何をしてた?」

 周囲を確認した少年は、頭をおさえ記憶を呼び起こそうとする。

 どうやらここに来るまでの記憶を覚えてない様子だった。

 記憶喪失というほどではないが、意識がなくなった前後の記憶がない感じのようだ。

「とにかくここから出てみるか……」


 ここがどこか分からないので、情報を集めるためには移動する他ない。

 記憶が頼りにならないと分かった少年は、すぐにベッドから降りる。

 そして一つの扉へと向かってゆっくりと足を進める。


「――白い、建物だな」

 扉を開くと、その先にはさらに真っ白な壁が続いていた。

 しかも少年がいた部屋にあった扉と同じような扉がいくつもの並んでいる。

 恐らく同じような部屋がいくつもあるのだろう。

 しかし廊下のどこを見ても人影はなく、少年以外の人は全くいなかった。

「くそっ、皆は……一体どこにいるんだよっ……」

 その現実を見た少年は表情を険しくする。

 自分一人しかいない状況にどこか焦りを感じているようだった。

「とにかく誰か人を探さないと……」

 そう言って少年は慎重に動き始める。

「幸いにも魔法が使える。何かあった時はこれで戦えばいいか……」

 ゆっくりと廊下を進んでいく中、少年は手のひらに炎を出現させる。

「それに『解放』の力も使えそうだな……」

 しっかりと力が使えることを確認しながら少年――康生はどんどん廊下を進んでいく。

「そうだ……だんだんと思い出してきた。俺はあの化け物と戦っていた……。そして最後、俺は奴と共に死んだはずだ……。なのに俺が生きてるってことは……」

 自身の力を確認する中で、康生はだんだんと記憶を取り戻していく。

 魔力から生まれた生物――あの化け物と戦っていたことを。

「でもこうして建物が建っているということは世界は滅んでいない……?」

 記憶が戻ってきたことで康生はさらに疑問を膨らませていく。

 一体ここはどこで、世界はどうなったのかと。

 とにかく情報を集めるため、康生はひたすら足を進める。


「――――康生っ!」


 足を進める康生の元にどこか懐かしく感じる声が届く。

「この声は……」

 康生はすぐさま振り返ろうとした瞬間、康生の体に何かが飛びついてくる。

「よかったっ!本当によかったっ!」

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