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絶対

『敵の構造が分かったんですかっ?』

 康生が敵と猛攻撃を繰り出す最中、人型の生物について何かを察した康生に気づき、上代琉生が無線から話しかける。

「今はっ、話せないっ……!だ、からっ、AI、頼むっ!」

『かしこまりました』

 康生はすぐに答えたいのは山々だが、今ほんの少しでも敵に隙を見せてしまえば康生は一瞬のうちにやられてしまいかねない。

 だからこそなんとかギリギリのところで意識を無線に向けてAIに託す。

 康生が気づいたのだから恐らくAIも気づいたと思ったのだろう。

『それでは私から説明しますね』

 そして康生の予想通り、AIも同じく敵についての全容が見えていた。

『あの敵は先ほどの物体と同じく魔力の塊でできています』

 魔力の塊から出てきたということで、その部分について皆分かっているだろう。

 だが、問題はその次の言葉だった。

『そして敵はわずかながら知能を得ました。しかもそれはだんだんと成長していっています』

「知能だとっ!?」

 AIの言葉に上代琉生は思わず声を荒げた。

「あり得ない……」

 流石に魔力から生まれたものが、知性を持つことは信じられないのか上代琉生はAIの言葉に半信半疑のようだった。

「どういうことか詳しい説明するのじゃ」

 同じくリリスも簡単には信じることもできないため、AIにさらなる説明を求める。

『はい。敵はまずザグさんとリナさんを倒しました。それは二人は先ほど敵の驚異だったからです。そして現在、一番の驚異であるご主人様を集中して攻撃しています』

「だけどそれだけじゃ知性がある説明にはならないでしょ?魔力が高い英雄様が狙われているだけなんじゃないですか?」

 ザグ達がやられ、その次に康生を狙ったとAIは話すが、上代琉生はただ魔力量の多さからそうなったと仮説する。

『いいえ、純粋な魔力量であれば恐らく都市に行けばいい話です。現にあの生物は体を微笑な塊に分解し、瞬時に移動することもできます』

「分解じゃと?」

『はい。ザグさんとリナさんを襲った攻撃は、敵が体の一部を飛ばしたものによるものです』

 敵の攻撃を冷静に観察していたAIはすぐに気づいたようだった。

 そして康生もまた魔力暴走の力を得て、さらに実際に攻撃を食らって気づいたようだ。

 つまり敵は今すぐにでも街に行き、魔力を補給することが可能ということ。

 しかしそれをしていない。

「つまり……。敵は自身にとって一番の驚異である英雄様を知ってしまったから、後のことを考えてここで倒そうとしていると?」

『その通りです。現に、今の戦闘では攻撃を入れる度にご主人様の回避行動を学習しどんどん攻撃の精度をあげていっています』

「そんなっ……」

 AIの説明を受け、上代琉生はただただ呆然と立ち尽くしてしまう。

 圧倒的力を持つ存在が知性を得てしまった。

 その事実にただただ絶望を抱くのだった。

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