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期待

(何かっ、ないのかっ!この状況を打破する手はっ……!)

 左右では物体が次々とその数を増やし、このままだと前線は一気に崩れ、街に被害が及んでしまう。

 本来ならばすぐにでも助けにいくべきだが、今の康生は一番大きな物体を相手に戦闘を強いられている。

 目の前の物体一つを相手にするだけで精一杯なのだから、それが複数に分かれた物を相手している兵士達が壮絶な苦労を負っていることを康生は感じる。

「くそっ!」

 魔力暴走の力を得てもなお、目の前の敵一人も倒せないということで康生は苛立ちが混みあがってくる。

(なんの為に俺はっ……。いや。俺だけの力じゃない、皆で力を合わせればっ……。でも今の俺の力じゃっ……)

 どうしようもない状況に康生の思考はどんどんマイナスへと向かっていく。

 だが、そんな康生の元に一つの無線が入ってきた。


『――何をしているのですかご主人様。それでは敵を倒すことは出来ませんよ?』


「AIっ!?」

 突如として聞こえてきたAIの声に康生は僅かに驚く。

『集中して下さい。でないとすぐに死んじゃいますよ』

「あ、あぁっ」

 突然の声に驚いた康生だったが、すぐに物体からの攻撃に気づいて回避をとる。

「急にどうしたんだよ。今まで何も反応がなかったけど……」

『えぇ。ご主人様の成長の為、しばらく黙っていましたが、やはりご主人様は私がいないとだめですね』

「うっ……」

 AIの言葉を受け、康生はわずかに心にダメージが入った。

『ですがそれでいいですよね?ご主人様は一人で戦っている訳ではないということにようやく気づいたようですし』

「あ、あぁ、そうだ。俺一人の力じゃ何も出来ない……。だからこそこうして皆で協力して……」

『でも、それじゃあ敵が倒せないのが現状です』

「それはっ……」

 確かにAIの言うようにこのままだといずれ、物体は各地の街へと移動しその力を奮い続けてしまう。

 そうなれば街は破壊され、人の住む場所が一瞬にして消えてなくなる。

『そこで私に考えがあります。ご主人様の言うように、私も仲間として皆さんに協力いたします』

 しかしAIはそれでも諦めた様子もなく、毅然とした態度で淡々としゃべる。

『ということですが、いいですね上代琉生さん?』

『――えぇ、何も問題はありませんよ』

 と、AIはすでに上代琉生に話を通していたようで、今の会話も全て聞こえていたようだった。

「なんとか出来るのか?」

 そんな中、康生はそんなAIに期待するかのように尋ねる。

『えぇ、任せて下さい。私はご主人様と、ご主人様の両親に作られたAIです。計算できないことはありません』

 そう言ってAIは自信満々に宣言するのだった。

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