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対峙

「くそっ!一体どうなってやがるっ!」

 突然分裂を始めた物体を相手に、異世界の国王は悪態をつく。

 先ほどまでそれぞれ物体一つに対して人間、異世界人が混じった部隊でなんとか奮闘してきていた。

 なのにそれがさらに増えるとなると、単純に倍の力が必要になるという計算になる。

 しかも魔法を使って応戦しようとすると、さらに敵の力が増すだけなので魔法を使えない状況なのだ。

 そんな敵を相手にここまで戦ってきてこれたことだけでも壮絶な苦労をするのに、その数が増えたとあれば戦況は一気に傾いてしまうだろう。

「皆落ち着いて!ひとまず冷静に攻撃を避け続けて!とにかくまずはそれだけに集中して!」

 物体が増えたことで混乱する戦場の中、エルは一人冷静に戦況を見極めて指示を出す。

「どうしようっ!このままだと本当に不味いよっ!」

 だがその実、エルは内心かなり焦っているようで、皆に指示を出した後にすぐに上代琉生とリリスに慌てて相談する。

「敵がさらに分裂するのは予測出来たことだが……こうも無尽蔵に分裂されると本当に不味いな……」

「じゃが、敵も無限に分裂できるわけではあるまい。それこそ魔力が尽きればそれで終わりじゃ」

「だが敵は当然そのことを考えているはずだ。つまりいかに早く例の魔道具を搬入出来るがだが……」

 唯一、あの物体を倒すことが出来る魔道具を作っているというメルンのことを考えて上代琉生は熟考する。

「ここに搬入する手だてはあるのか?」

「今、異世界にはリナさんに向かってもらっている。だから魔道具が出来次第すぐにこっちにもってくるはずだ」

「そうか。ならば後は本当に時間の問題なのじゃな」

 敵を倒すためには後は魔道具が完成し、それがここに到着するのを待つだけだ。

 しかし現状康生が戦っている一番巨大な物体だけでも手がかかるというのに、それが左右に分かれて、しかもその数を増やしているということで戦況は悪化の一途をたどっていた。

「リリスっ!これ以上はどうあがいても全て留めておくことはできんぞっ!このままだとじきに逃げられてしまうぞっ!」

 そしてそんな状況の中、やはり物体の数に押されだんだんと兵士達だけで物体を留めておくことが厳しい状況になる。

「くそっ!すぐにこいつを倒すから待っててくれっ!」

 そんな状況を察して康生はすぐに助けに行くために、巨大な物体をすぐに片づけようと焦る。

『英雄様っ!落ち着いて下さい!こっちは俺達に任せて、そっちに集中して下さい!』

「でもっ……!」

 もどかしい状況の中で、康生は一層焦りの表情を浮かべて物体と対峙する。

(何かっ、ないのかっ!この状況を打破する手はっ……!)

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