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意味

「違うっ!そんなのはただの理想論だっ!」

 誰しもがエル発言に言葉を失う中、クロスだけがただ一人真っ向から否定していた。

「戦わない未来のため?そんな未来はないっ!我々は戦わなければならない運命にあるのだっ!貴様等のような甘い考えではいずれ破綻するっ!それが何故分からないっ!」

 先ほどまでとは一変し、激しく感情を荒立てている。

 エル達はそんなクロスの態度に疑問を感じずにはいられない。

 何故なら、クロスは今まで協力的だった。

 なのに一体どうしてここまで真っ向から反対するのか、戸惑いを覚えずにはいられなかった。

「――お前の父親も、同じ思想を抱え、国民に殺されたっ!それは全国民がそんな理想を否定したからだっ!だからっ、そんな甘い考えは認められないっ!」

 先ほどまでの発言からは考えられないような、感情的な言葉をぶつけられ国王達までも僅かな戸惑いを浮かべていた。

「お主は何がいいたいのじゃ。現にこれだけの賛同者が現れている。お主の国民だったこの中にいる。それなのに貴様はそれを否定するというのか?」

 しかしリリスはあくまでも論理的に感情を鎮めようとする。

 だがクロスはそれでも必死に、何かにおいすがるようにエル達を睨む。

「じゃああいつの死は無駄だったというのかっ?あいつは無駄に死んだとお前達は言うのかっ!?」

「それはじゃな……」

 クロス問いかけに思わずリリスはすぐに答えることが出来ずにただ口ごもってしまう。

 どうやらクロスは級友であったリリス達の父親の死を引きずっているようだった。

 協力的だったのも、父親の理想を叶えたいてあげたいと思っていたからだろう。

 だが実際に夢が叶えるのかもしれないと分かった時、クロスは級友が死んだ意味について考えたのかもしれない。

 そしてその時、一緒に手伝ってやることが出来なかったことへの怒りも含めていることをリリス達はすぐに気づくことが出来た。


「――意味がない訳じゃない」


 するといつの間にか地上へ降りてきていた康生はじっとクロスを見据えていた。

 クロスの発言を聞いて何か思うところでもあったのだろうか、康生は真剣な目でクロスを見つめていた。

「意味がないだと?どうしてそんなことがいえるっ?あいつはお前達と同じような国民に訴えかけた。だが奴は国民に反対され、結果死ぬことになった。それがどうして意味がないと言える?」

 だがクロスはそんな言葉では意見を変えることはなく、むしろ康生を責めるように睨んだ。

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