表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/651

パァンッ!

「美味い!」

 ペットボトルを空高く掲げて康生は一言叫ぶ。

 すると広場のあちこちから歓声があがり、果ては大喝采が響いたのだった。

「この技術を使って畑の作物を育て、そして皆さんそれぞれの飲料を確実に確保します!」

 この技術を使って出来る事を言い並べる事で、広場はかつてないほどの盛り上がりを見せた。

 それほどこの技術は今の人々にとって必要なものだという事だ。

「え、えっと……これからどうしましょう?」

 康生がそっと振り返り時雨さんに助けを求める。

「とりあえず至急我々で水をろ過する装置を開発させよう。康生、本当にありがとう」

 時雨さんが今後の予定を話しつつも、康生に深く頭を下げる。

 すると時雨さんの背後に立っていた兵士達全ての人が康生に頭を下げた。

「ちょ、ちょっとやめてくださいよ!」

 康生は照れながらもやめるように言うが、時雨さん達は一向に頭をあげなかった。

「まぁ、いいんじゃないの康生?」

 とそんな康生の横にエルがそっと近づいてきた。

「康生は街の人々からこんなにも感謝されるような事をしたんだからきっと当然の事だよ」

 エルは少しだけ寂しそうな笑顔で応える。

「そ、そうかな……」

 しかし康生はこの状況に戸惑い、そして浮かれているのでそんなエルの笑顔の意味には気づかなかった。

「……俺は人の役に立ったのか?」

 ふと康生はそんな事を尋ねていた。

 この十年間生きる価値を得るためだけに生活してきた康生にとってこの問いこそが一番大切な事なので、今こうして皆から感謝されるのを見て康生は少しだけ疑問に思った。

 自分はそれほどまでの事をしたのかと。

「当然だよ」

 そんな康生を横目にエルはすぐに応える。

 それを聞き康生は少しだけ安心を覚える。

「――ならよかった」

 小さく息を吐くように康生は呟いた。

「で、でもこの状況はちょっとどうにかしないと不味いんじゃ……」

 エルがそう言ってから康生はようやく広場の状況に気づいた。

 皆それぞれ思い思いの歓声をあげているわけで、当然先ほどの暴動以上の混乱が起こっていた。

(――もしかてし俺何かやらかしてしまった?)


 などと不安に思いながら康生は台の上でモジモジとする。

「後の事は私たちに任せてくれ」

 そんなオドオドしている康生の横に時雨さんがやってくる。

 どうやらここは隊長らしくしっかり皆をまとめてくれるようだった。


 パァンッ!


 だがしかし、時雨さんの発する声は一つの銃声によって止められたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ